第2話
「生徒の暴走を止める役目は先生にあると思います」
「分かっている」
「だったら、」
「でも俺が止めたらアイツは俺を殴るだろう」
教師のくせに生徒を止める気がないのか、とそう思われても仕方のない発言だった。
この台詞は最初に聞いた時、私は頭に血が上るほど怒りに支配された。
だけど、今はもうこの会話も慣れたものだ。
次の言葉が建前なのか、本気なのか、考えるもの嫌になる。
「俺はアイツに退学して欲しくない」
「……」
「大切な生徒だからこそ、止められない俺ではなく、止められる櫻井にお願いしたい」
「……」
先生がなぜ私が黒瀬を止められると思っているのか。それは過去の実績によるものだった。
暴君として名が知られている黒瀬丞二。
私の一つ上の学年で、当たり前のように暴力を振るい、暴れ馬として有名人。
誰か、それも同じ学校の生徒を傷つける。それだけで退学には十分な理由だと思う。
だけど、黒瀬が退学になることはなかった。
それは黒瀬が暴れている理由に関係してくる。
「…今回は何なんですか」
「カツアゲだ」
「証拠は」
「ある」
はぁ、とため息を吐き出して隣で心配そうに黙り込んでいた友達に私が手に持っていたお弁当を預けた。
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