第3話

うちの学校は周りからよく「バカ高」と呼ばれている。


それは低い偏差値も関係しているけど、生徒の方に問題があった。


毎年、毎年似ている人達が集まるのか、一定数の良くない輩がいる。


もちろん、黒瀬もその一人に過ぎないけど、それ以上に汚く、卑怯な人達がいた。



そんな人達を黒瀬は、取り締まっている。


それは暴力という強制的なやり方で。



黒瀬が手を出すのは、カツアゲや暴漢、暴力を何の関係もない人達に振るった相手に限っている。



だから黒瀬は停学にはなるものの、退学にはならない。


それは黒瀬だけが悪いわけではなかったからだ。



学校側にとって黒瀬の存在は一種の抑止力。


だから退学にしたくない。出来れば停学にもしたくない。


黒瀬がいる、それだけでうちの学校は随分と平和になったと前に担任に聞いたことがある。




だけど黒瀬は一度暴れ出すと手が付けられない。


怒りに身を任せ、渾身の力を振るう。


それはやり過ぎ、と言えるレベルだった。



だから担任はその黒瀬を抑え込む人間を必要としていた。


そして、その役目を押し付けられているのが私だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る