第9話

自分が嫌なことを我慢してまで一緒にいたいとは思っていない。だから私は彼氏を作らない。それは周りの人達から見ればわがままで自己中の女なのかもしれないけど、私も相手も合意しているんだったらいいと思ってる。


思っていることを言えない関係なんて息が詰まるだけ。




「今度、会わせてね。瞳の彼氏さんに」


「甘えた目で見ないならいいよ」


「見ないって」


「知ってる」



私をからかうようにくすくすと笑う瞳にムッとなる。



ただじっと見ているだけなのに、男から見るとそれが甘えているように見えるらしい。



そのおかげで、私は大学で“寝取りの兎”なんて言われていたりする。誰だかの彼氏を取ったとか、そういう根も葉もない噂が常に付き纏う。


別に私のことを何一つ知らない人達に何を言われても響かないんだよなぁ。悲しいとか、辛いとか、そんな感情を抱いたことはないし、そんな人達と関わらなくて良かったとすら思ってしまう。



私は冷たい人間なんだ。


でも、この私を変えようとなんてこれっぽっちも思ってない。

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