第8話

首を縦に振らない私に瞳はそれ以上追求してこなかった。うん、こういうところが大好き。



「いつか愛結の本命になれる人が現れるといいね」


「…うん」




心配してくれてありがとう。


だけどね、私は死ぬまで“彼氏”を作れないと思うんだ。


まーくんも今までの男達も私が嫌がるから束縛も嫉妬もしないようにしているけど、心の中で蠢くそれに私は気づいていたよ。



私の髪の毛一本残さず、全てを支配したいという私欲。私はそれを目の当りにしたらどんなに良い“彼”だってさよならする。


それが男達との約束だから。





「瞳は彼氏さんとどうなの?」


「うん、まぁ、順調かな」


「今は年上だっけ?」


「そう。甘えさせてくれるからすごい楽」


「いいなぁ」


「愛結は私と違って甘え上手だからいいじゃん」



甘えてるつもりはないんだけどな。


ただ私は男に遠慮しないだけ。欲しいものは欲しいというし、嫌なことは嫌とはっきりと言う。

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