第10話
だけど、こんな醜い私を瞳には出来るのなら知られたくないな。瞳だけは、失いたくない。
「私は男の人を誘惑したことなんて一度も有りません。瞳までそんなこと言うなら怒るよ」
「愛結が怒っても怖くないけどね」
「…瞳」
「ごめんって。可愛い顔は怒っても可愛いんだから」
全然反省する気ないよね…。
だけど、瞳だけはちゃんと分かってくれている。
私は誰かの彼氏を奪ってまで“彼”にしたいわけじゃない。一人でいることが寂しい男女が一緒にいることでお互いの心の穴を埋めようとしているだけなの。
ふと視線を落として、目の前のココアが入っているカップを両手で包み込み温かさを感じてから、口元まで運んで静かに息を掛けると茶色い液体が揺れる。
そろそろ飲めるかな。
猫舌の私は大好きなココアも冷まさないといけない。
瞳はさっきから平然と砂糖もシロップも入れないでブラックコーヒーを優雅に飲んでいる。
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