第15話 2年来の再会

「——寝てた」


目覚めの第一声がそれなのは置いといて、目覚めたルゥはすぐさま火球を作りだし…!?


うおっ!!あっぶねぇっ!!


汚れも気にせず靴下のままその場から緊急回避する


「あはは、リュウカ。大丈夫」


20センチ台のそれをポッと消すと、ケラケラと笑う


「何が大丈夫じゃい!!危ないでしょうが!!」


「こんぐらいじゃ人は死なない」


やだっ、この子…イカれてる…!?


まぁ…感覚を忘れないようにとかそこら辺だろう


「ま、寛大なこの私が許してやらんこともないでしょう。」


「…」


あれ?なんか用意してるぞ?あれは…火球?


「!?ちょっと待って?まさか私に打つとか…ないよ…ね?」


「大丈夫。こんぐらいじゃ人は死なない」


「わっ!、ちょっほんとごめんなさい!!ほんの出来心で…勘弁してえぇぇ!!」


死がそこまで迫ってるのを感じる。


あたしゃこんなことで死にとうない!!


「…まぁ許してやらんこともないでしょう」


「まじでありがとうございます…」


うぅ…死ぬかと思った…


…ん?なにか立場が逆転している気がするが…まぁ生き延びれたんだ。大したことじゃない。


「あ、そういえば」


思い出したかのようにルゥは天を仰ぐ


なんの為にかって?


それは時間の為だ

どうやらこの世界、意思を持って天を仰ぐと時間が分かるのだ


前世でもこんな能力があればなぁ…


…変わらんか


「…帰らなくちゃ…リュウカ、今日ありがと。また明日」


「あぁうん。また明日」


何か予定でもあるのだろうか、時間を確認すると仕切りに焦り出し、駆け足で帰っていった


ポツリと取り残されポカーンとしていたが、ずっとそうしている訳にもいかないので片付け始めた


トートバックに全てしまい終わり、立ち上がると豪邸の庭の池ぐらいの大きさの池が見えた


なんの意味もないけど行きたくなったため、池目掛けてぶらりぶらりと歩き始めた


池に着いた。が…なんで来ようとしたんだろうぐらいしか感想がなかった


やることもないため、そこに設置された椅子に座りこんで、池をただぼけーっと眺めることにした



どれぐらい時間が過ぎただろうか


気がつくと隣に少女が座っており、こちらをじっ…と見つめていた


なんだ?


わけもわからず恐怖を感じる


「あの…」


「わっ起きてた」


俺の声に少女はびくっと肩を振るわす


「えと…いつから…」


いつからこちらを見てるんだと言いたかったが、初対面と恐怖が相まりこれぐらいの言葉しか発せられなかった。

かなり絞って出した方だと思う。


全く…この2年間で話せない具合に磨きがかかってんなぁ〜


「ずっと前から、声もかけてたのだけれど…」


「ごめんなさい。ところで要件は?」


「あぁ、要件…要件ね…」


何か言い出しづらいのかごにょごにょと口ごもってよく聞こえない


「その……私のこと…覚えてるかしら…」


………


全く身に覚えがないぞ


ぼっちだったし


もしかして詐欺?俺今詐欺に遭ってる!?


「いいの!全然気にしなくて!サ年前だから覚えてないのも当然よね…」


俺が全く分からないことを悟ったのかそう切り出す。


サ年前とは2年前のことなんだが…おそらくこいつは転生する前に接点があった系の人だ。


「サ年前のいつごろですかね…」


単純に俺が忘れてる可能性も捨てきれないため、時期を探ることにした。


「入学式のギ週間前ぐらいよ」


ギ週間とは1週間なのだが…この人即答してきやがった


…あっれぇ?おかしいなぁ


俺が転生した後のことじゃないすか


待てよ?なら覚えてなくちゃいけないことじゃん。どれだ〜?


少女の顔面を過去に見知った人と重ね始める…

そんなに人と会ってないからすぐに重なるはずだ


………


「あっ!!」


「思い出したかしら!?」


思い出したは思い出したんだが


近いって!


思い出した瞬間ずいっと寄ってきて恋人の距離まで近付いてきた


そんなに大切だったかなぁ?あれ。


「校門で喧嘩してた少女で合ってます?」


そう、彼女は2年前にトロ爺の後ろで泣いてたオシャレ少女だったのだ


やっぱり子供って小さな事でも覚えてるんだなぁ


あの1週間が濃過ぎてド忘れしてたよ


「うっそんなイメージだったのね…」


針に刺されたようにもろにダメージを喰らっている…


「い…いいわそんなことは…そう!私あなたにお礼がしたくて!」


「いやいや!私お礼されるほどのことはやってませんよ!」


本当の本当にやってない。


だってキチガイ少女殴っただけだし


「私…あの時あなたのことが怖くって怯えていたの」


うん知ってた。無視されたことは突っ込まないどこう


「でも、でも、あの後あなたの「親は子供のために生きてるわけじゃない」って言葉ではっとして…親がいるってことをもっと大切にしなきゃって思って」


大変素晴らしいことなのだけれど…別にそうゆうつもりで言ってないんだよぁ


親不孝者を身勝手に叱咤しただけで


「それでお父さんとお母さんにいつもありがとうって言ったの!そしたら抱きしめてこちらこそ生まれてきてありがとうって言われて嬉しくて、嬉しくて」


あぁ、それは確かに覚えていてもおかしくないな。子供にとって親から存在を認められるなんて1番の幸福だ


「だからお礼がしたくって…本当にありがとう!」


「それはよかったですね。これからも親を大切にしていきましょう」


この場合俺だいぶブーメラン刺さってるけどな!


いや!?あれ別に俺の親じゃないし!?


「それじゃあ私行くね。ばいばい」


少女は実に晴れがましい顔つきで帰って行った


再び取り残された俺は春の夕暮れに身を包まれ黄昏ていた


いきなり空白の2年間から解放されたのだ


疲れないわけもなく、嬉しいことなのだが少しばかり疲れてしまった


今日はもう誰とも会わなくていいかな


……


なんかいるんだよなぁ


校舎の影からこちらの動きを待っている少女がみえる


あちらはこちらが気づいているのを気づいていなそうだ


もう良いんだよ…今日はもう疲れたよ…


あ、痺れを切らしたのか動き出した


俺の座っているベンチまで近づいてきて…?


通り過ぎていった…


通り過ぎる間際[??]が頭上に浮かんでいた気がする


今度は後ろから前に歩いていった…


今度はしっかり頭上に[??]が見えた


ほんと誰だろこの人。明らかに俺のことを意識している。


「えーと…どちら様で…」


コントのような場面を見ているのも面白いが、ちょっと身元が不明なのが怖かったためにこちらから声をかける事にした


俺が声をかけた瞬間、ぱぁ!と顔が明るくなったがその後の言葉を聞いてとんでもなく落ち込み出した


この人こそこの体の元友達系か?


「サ年前の…入学式のギ週間前の…」


またか〜…


消去法的にいったらこの人は俺がぶん殴った…

平手打ちだっけ?

…平手打ちした少女って事になるけど


「…あなたにビンタされた…」


ですよね〜…


なぜ?


なんなら貴方恨みしかないと思うのですが…


「思い出しました」


「良かった……私人に殴られたの初めてで…それで…他人に怒鳴られたのも初めてで…」


2年前と話し口調がだいぶ変わったように思えるが…なんかあったのかな?

あと殴ってはないからな?自分で言ってたじゃん


当然俺はこの少女を許してはいない

なので少し距離を置いた喋り方をする事にした


「それで泣きながら帰って両親に起きた事全部話したら喧嘩し出して…」


んん?なぜ喧嘩が起きた。


「ママが私に口を聞いてくれなくなって……やっと親が自分の言うことを聞くのが当たり前じゃないって…やっと気が付いたの」


途中から涙ぐみ始め、言葉を言い終わる頃には頬を涙が伝い始めた


変わった…いや、成長したんだな


口調は柔らかくなり、哀哭から啜泣に変わっている


「だから…ごめんなさい…」


「は?なんで俺になんだよ。俺にじゃねーだろ。謝るのは喧嘩した子と両親だろ。あっ」


声に出てた…!!


「そうよね!ごめんなさい!私、もうレイナには謝ったの。ママにも謝った。でも…ママはまだ許してくれなくて…」


先程まで我慢していたが、とうとう限界が来たのか大量の涙が彼女から溢れ出る。


「そか…頑張ってるんだね…お母さんと仲直りできるといいね」


「うん…ごめんなさい…ありがとう…」


服の袖でしきりに零れ落ちる涙を拭き取っている


おしゃれな少女が背後から現れたかと思うと、涙を我慢しきれない少女の横に寄り添って励ましていた


「大丈夫。がんばった、偉い、偉いよ」


…驚いた


背後にいたのに気が付かなかった驚きもあるが、いかにも仲が悪そうだった2人がこんなに仲良くなっていることへの驚きの方が大きい


というか2人で順番っこに俺に話しかけてたんだな


「ごめんね。話、後ろから盗み聞きてした。」


ということは結構前からいたという事になる

凄いな…全く気が付かなかった


あれ?ってことは俺の一人称聞かれた?


…リュウカちゃんは怒ると口調が汚くなってしまうのですわ。決してあれが素なわけではありませんこと


「それで…許してくれた?ルリのこと」


「許さない」


俺がそう告げると2人の息が詰まる


「…のは昔のあなた。今のあなたは許すよ。頑張ってるし」


「ありがとう……」


緊張からの緩和が原因か、元キチガイ少女はほっと息をつく


「そうだ、お名前聞いてもいい?」


しばらく時が経ち、少女が泣き止んできたぐらいでおしゃれ少女がそう話しかけてきた


「リュウカです。そっちは?」


「私はレイナ。こっちは…」


「ルリよ」


「本当いきなりごめんなさいね。じゃあ私たち本当に行くからさようなら。」


「はい、お気をつけて」


学年が上がって初日で学友入手と2年来の再会とはまたも数奇なものだな


それにしても…


疲れたぁ…


会社の重鎮と1日に複数会う日並に疲れた


もう疲れたし今日はギルドで済まそ


奮発しちゃお

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ビセア クルッポー @Kuruppo8255

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