第21話

那由多を乗せて、車は走り出した。




すぐに見えなくなって、私は声を上げて泣いた。




もう我慢できなかった。





ママに抱きついて、


もういない那由多に、


またね、


またね、


って言いながら。






落ち着いた私に、ママが言った。




「那由多くん、最高のおまじないしてくれたね」


「おまじない?」


「そっ!」


「なんの、おまじない?」




ママはうふふと言って、力いっぱい私を抱き締めた。




「いつか、ずっと一緒にいれるようになるかもね」


「ほんとう!?」




私はママの胸から顔を離して、聞いた。




「零が、那由多くんを忘れなかったらね」


「わすれないよ!ぜったい、ぜったい、わすれないもん!」




ママが相変わらず楽しそうに笑ってるのを見てた。




その後ろで、パパが落ち込んでたことには、全く気付かずに。

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