第17話

次の日。




アパートの駐車場には大きなトラックがいて、那由多の家にあったものを次々に載せていっていた。


私のパパとママもお手伝いしてる。




私と那由多は私の家のベランダに並んで座って、その様子をぼんやり見てた。






荷物が積み終わったら、那由多は行ってしまう。




そう思うと、また涙がじわじわ浮かんでくる。






それに気付いて、那由多は優しく声をかけてくれた。




「れいちゃん、なかないで……」




私は顎に力を入れて、涙を溢さないように頑張る。




「れいちゃん」




また聞こえた声に、顔を上げた。




「ママがね、またれいちゃんにあえるって」


「?」


「だから、バイバイじゃなくて、またねだよって」


「また、あえる?」


「うん」


「ほんとう?」


「うん」




那由多も目が濡れてる。


でも、


ちゃんと笑ってた。






何だか悔しくなって、ついつい口を開いた。




「いっしょにプールであそぼって、いった」


「うん」


「たしざん、おしえてくれるっていった」


「うん」


「できる?」


「……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る