第16話

レストランからの帰り道。




那由多のパパが運転するワゴン車の中で。






私も知った。




那由多の元気がないわけも。




泣いたわけも。











那由多たちは明日、引っ越す。




聞いたことのない、ここからとても遠い場所に。






気がつくと、私も那由多と一緒にわんわん泣いていた。






足し算を、教えてくれるって。




もうすぐ始まるプールの授業が、楽しみだねって。




言ってたのに。






ずっと一緒だと思ってたのに。






ただ、寂しくて、


悲しくて、


声がかれても、




泣いていた。






ママが教えてくれた。




那由多が私に言わないで、って言ったこと。




だから、クラスのみんなにもお別れの挨拶をしなかったこと。




隠してる那由多の方が、ずっと、ずっと、辛かったこと。




私は泣きながらそれを聞いていて、


繋いだ那由多の手を、ひたすら強く握っていた。

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