第15話

半袖の洋服を着るようになった頃から、那由多の元気がなくなった。




私はすごく心配して、


「どうしたの?」


って聞いたけど、那由多は何にも言わなかった。




ママにも、那由多に元気がないことを言ったけど、


ママはそっか、って言って悲しそうに苦笑しただけだった。






その週末。




私と那由多、私のパパとママ、那由多のパパとママでレストランに行った。




那由多はやっぱり元気がなくて、おいしいご飯もあんまり食べてなかった。




向かいに座ってた私が見ていると那由多はにっこり笑って、


自分の飲んでたメロンソーダの中からサクランボを掴んだ。




「あげる」




指に挟んだ真っ赤なサクランボを、私に差し出した。




私はテーブルに乗っかるように身を乗り出して、那由多の指にぶら下がったままのそれをパクンと食べた。




「おいしー……」




ね、


って言おうとしたけど、




言えなかった。











那由多が泣いていた。

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