第63話

けど……。


言葉は喉の奥に飲み込んだ。




だって、何を言ってもどうせ帰らないんでしょ。


君は。




結局いつも折れるのは私なんだって、わかってしまった自分にげんなりする。




……。


これも慣れかな。




全く恐ろしい。




さよなら。


私の至福の時間。




君にも聞こえるくらい大きな溜め息を吐き出してから、私は観念してスイッチを弾いた。


暖色のペンダントライトにふわっと光が点る。




そしてガスの元栓も開けて、やかんにお湯を沸かした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る