第28話

でも、その様子はどこか楽しげで、最初の頃の不機嫌な感じはなくなっていた。




だからかな。


私の方もつられるように、次第に怒りは薄れていって消えた。




……。




なんか、変なの。




いい歳したおとなが子どもみたいなことをしてる。


それも初対面のお客さんとふたりして。




こんなの、普段の私では考えられないやり取りだった。






「あんた最高」




缶コーヒーをすっと伸びた長い指で揺らしながら、お客さんが言った。




「え?」


「こんなツボったの久々だよ」


「……それはどうも」




誉められた。




嬉しくないけど。


っていうか迷惑だけど。

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