第21話

「は?喫茶店だろ?」




丁寧に断ったつもりだったんだけど、あからさまに不機嫌さを露にされてしまった。


だからもう一度、誠心誠意頭を下げる。




「申し訳ありません、紅茶専門店なんです」




と。




「でも喫茶店だろ」




……。




どういう訳か、引かないこのスーツのお客さん。


確かに部類でいったら喫茶店かもしれないけど、扱ってないって言ってるのに、ないものを一体どうしろというのだろうか。




「申し訳ありません」




もう一度、さっきよりも深く頭を下げた。


きっとこれでお引き取り頂けると思って。


なのに。




私は唖然としてそのお客さんを見つめていた。




……。




……帰る気、ない?




なぜか席に座ったまま立ち上がる気配はない。


それどころか長い足を組んで、仕舞いには頬杖をついた。

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