第51話

「おかえり」


「ただいま」




挨拶だけひとこと交わすと、ばぁちゃんはさっさと部屋に入ってしまった。


(もういないし、心の中ならばぁちゃんでいいだろ)




きっと何か画材を取りに来たとこだったんだろうな。


玄関の横のドアはアトリエに繋がっていて、そこからは母さんとばぁちゃんの声が聞こえた。




何をいってるのかはわからないけど、真剣そのものだ。


時には大喧嘩に発展することもある。


それもけっこう頻繁に。




なのに、しばらく時間がたつとまた二人してあれこれ相談してるんだよな。




本当に不思議だ。




あんな大喧嘩しながら一緒にやってて楽しいのかよ。


ウソだろ。




でも、そうやってできた作品は凄いと思う。


純粋に、凄い。




もちろん個人活動の方がメインだしそっちもかなり凄いんだけど、


個展とかも共同作品の方が人気が高いって言ってたっけ。




……。




それが、“誰か”と一緒になったときの力なのかな。

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