第30話

「えっ、でも」


「あぁー…めんどくせぇなぁー」




力の抜けるようなその言葉は、不思議と親しみを感じられる。




「でも、ま、俺がけしかけたしなぁ」




ひひっ、といつもの笑顔を見せて、また汗をタオルで拭った。




「せ、先生?」


「んあ?」


「いいの?」




ほんとに顧問になってくれるのか?




「しょうがねぇからなぁ」




先生は呆れたような、でもどういうわけかどこか嬉しそうな、そんな顔をしている。




じわり。


胸が熱くなった。




俺はもう一度ベコンと頭を下げる。




「ありがとうございます!!」




勢いがよすぎて膝に顔をぶつけた。


痛ってぇ。




ひひっ、と。


また笑い声が聞こえた。

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