第29話
俺はゆっくりと顔をあげて先生を見上げた。
先生はタオルでわしわし顔を拭いている。
「先生…、」
困らせるつもりはなかった。
でも、なかったら作れば良いって言ってくれた先生なら助けてくれると思ったんだ。
勝手に期待してたんだ。
先生は熱血じゃないって、むしろ、面倒事はのらりくらりかわす人だって知ってたのに。
早く言い訳して、謝ろう。
それで、また一緒に走らせてくださいって頼んでみよう。
そう決めて口を開いた瞬間。
「わかったよ」
思わぬ声が耳に聞こえた。
「…え?」
「わかった」
もう一度繰り返される。
わかった、って。
「顧問引き受けてやるよ」
今度ははっきりとそう言った。
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