第6篇「記憶の果て」(前編)

▢▢▢ 古代の導き ▢▢▢


パワーアップしたタカミンの青い光が、高天原たかまがはらの神殿内部を照らしていく。


「今度は大丈夫!」


タカミンは誇らしげに宙返りを披露した。


「霊力も完璧に制御できてます!」


光輝こうき詩織しおりは、巨大な柱廊ちゅうろうの奥へと進んでいく。黄金の文様が刻まれた壁面が、かすかな脈動を放っている。


「ねえ、光輝......」


詩織の声が不安げに響く。


「うん?」


「私たち、本当に正しい選択をしてきたのかしら」


その問いに、光輝は立ち止まって詩織をまっすぐ見つめた。


「後悔はないよ。だって......」


言葉の続きを探しあぐねる光輝に、タカミンが茶々を入れる。


「まあまあ、そういう話は後にして!前方に反応あり!」


▢▢▢ 神域の深層 ▢▢▢


大広間の中央に、白玉石はくぎょくせきで作られた祭壇が姿を現した。


「これは......」


タカミンの光が急速に明るさを増す。


「この祭壇、データベースに該当なし!でも、ものすごいエネルギー応答が!」


祭壇の四隅には、見覚えのあるくぼみがあった。


「六神の秘宝を置くための......?」


光輝が呟いた時、祭壇から淡い光が立ち上った。


「巻物の反応を感知!」タカミンが興奮気味に告げる。「間違いない、ここに『言霊ことだまの巻物』が!」


▢▢▢ 記憶の扉 ▢▢▢


光輝たちがこれまでに集めた神器を祭壇の窪みに置いていく。羅針盤、火焔かえんの鏡、黒曜石の矢、輪環りんかん、そして天の勾玉まがたま


最後の一つが、目の前に眠る言霊の巻物。


「待って......何か変なの」


タカミンの声が震える。


「この巻物から......データが流れ込んでくる!これは......古代の......記録装置!?」


タカミンの青い光が、突如として虹色に変化し始めた。


「な、何が起きてるの!?」


詩織が叫ぶ中、タカミンの姿が巨大な光球となって広がっていく。


「私の中に......古代からのメッセージが......!」


光輝は反射的に詩織の手を握っていた。


▢▢▢ 次回予告 ▢▢▢


輝く光の中で明かされる真実。


タカミンの中で目覚める古の記憶。


そして、光輝と詩織の決断の時――


次回、「記憶の果て・中編」、歴史の扉が開かれる!

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