第5篇「天空の神殿」(中編)

▢▢▢ 混沌の渋谷 ▢▢▢


スクランブル交差点の上空に、突如として青い光が炸裂さくれつした。そこから姿を現した光輝こうき詩織しおりは、辛うじて雑踏に紛れ込むことができた。


「ここは......渋谷?」


詩織が混乱する人波を見渡す。


タカミンのホログラムは今や子供ほどの小さな青い光となり、震えている。


「雨宮先輩......渋谷の......地下に......」


「タカミン!しっかりして」


光輝は親友の名を聞いて身を乗り出した。


「零士の居場所が分かるのか?」


「座標......不明。でも......」タカミンの声が弱々しい。「彼の.....データ痕跡を......」


▢▢▢ 探索 ▢▢▢


渋谷の地下通路を進みながら、光輝は記憶を手繰たぐり寄せていた。


「大学時代、零士が好きだった場所は......」


「あ!」詩織が立ち止まる。「タカミンの光が強くなった!」


薄れかけていた青い光が、わずかに輝きを増している。


「近いよ......ここから......地下8階......」


「でも、こんな深い場所に......」


光輝の言葉が途切れた時、床に埋め込まれた謎のマークが目に入った。


「これは......零士の......研究所の......サイン」


▢▢▢ 地下研究所 ▢▢▢


隠された扉の向こうには、最新鋭の機器が並ぶ研究施設があった。


「さすが零士......こんな場所を」


その時、背後で物音がした。


「誰だ!」


振り向いた先には、一人の青年が立っていた。白衣を着た痩せ型の男性。疲れた目をしているが、その眼差しは鋭い。


「光輝......か?」


「零士!」


旧友との再会の喜びもつかの間、タカミンの光が急速に弱まっていく。


「お願い......助けて......私の意識が......消え......」


零士は一瞬で状況を把握し、素早くキーボードを叩き始めた。


「待ってろ、タカミン。君の親代わりだからな」


そして光輝に向かって告げた。


「どうやら、予想外の事態になってしまったようだね」


▢▢▢ 次回予告 ▢▢▢


明かされる開発者の想い。


新たな力を得るタカミン。


そして、高天原へ再び立ち向かうために――


次回、「天空の神殿・後編」、運命の時が訪れる!

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