第4篇「古の盟約」(後編)

▢▢▢ 運命の土器 ▢▢▢


タエの手を通して形作られていく土器の表面に、光輝こうきは息をんだ。渦を巻くような文様が、まるで生命を持つかのように広がっていく。


「これが、なわ輪環りんかん......」


タエの瞳が静かな炎を宿す。


「千年を超えて受け継がれた、私たちの祈り」


黒曜石の矢が、かすかな共鳴を始めた。


▢▢▢ 三つの輝き ▢▢▢


洞窟で、詩織しおり朱守あかもりと共に地震の続く中、出口へと急いでいた。


「今こそ、三つの力を一つに」


朱守の言葉に、詩織はうなずく。地上に出た彼らの前に、巨大な六本柱の建物が姿を現した。


「光輝!」


「詩織!」


再会した二人の前に、タエと朱守が向かい合って立つ。


「始めましょう」


輪環が中央に置かれ、その周りに古代の文様で方陣ほうじんが描かれていく。火焔かえんの鏡が南に、黒曜石の矢が北に配される。


「力を....!」


タエの叫びと共に、三つの神器が光を放ち始めた。


▢▢▢ 解き放たれる祈り ▢▢▢


地鳴りが激しさを増す中、光の渦が三つの力を中心に立ち上っていく。


「驚異的なエネルギー反応!」タカミンが興奮した様子で叫ぶ。「輪環が大地の振動を吸収し、鏡と矢がそのエネルギーを天空へと導いている!」


光輝は土器に手を添え、詩織は鏡を支え、朱守は矢を天に向ける。


「古からの願いよ......」


タエの祈りの声が響く。


まぶしい光が大地を包み込み、やがて静かに消えていった。揺れは完全に収まっていた。


▢▢▢ 新たなる道標みちしるべ ▢▢▢


「これからは私たちが、この地を守っていきます」


タエが完成した輪環を抱きしめる。


「土の民も共にな」朱守が静かに告げた。「かつて分かれた力が、再び一つとなったのだから」


黒曜石の矢が、新たな輝きを放ち始める。


「次は天空の神殿か」光輝がつぶやく。


「そうみたいだね」タカミンが応える。「矢が指し示す先は......遥か、高天原たかまがはら!」


時空のゆがみが、再び彼らを包み始めた。


▢▢▢ 次回予告 ▢▢▢


神々の世界、高天原。


そこに秘められた日本の始まりの謎。


新たなる冒険の幕が上がる――


次回、第5篇「天空の神殿」開幕!

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