魂利・怪異・黒花…圧倒的に練られた世界観に惹き込まれました

とても面白くて、読んでいて何度も「なるほど…!」と唸りました。

怪異と経済が結びつく設定がまず斬新で、それが単なる世界観の装飾ではなく、社会や制度、思想の問題にまでしっかり踏み込んでいるのがすごいです。
魂を通じた契約の仕組みや、魂利の考え方が、リアルな経済や倫理観とリンクしていて、「怪異との契約がなぜ問題なのか」がただのフィクションにとどまらず深く考えさせられました。

中盤から俺の視点で黒花やガイア仮説の話が入ってくるところも、とても印象的でした。環境と経済、対立しがちなものを「どちらにも調整機能がある」と結びつけていく発想が、本当に面白かったです。

最後の2人の出会いのシーン、静かだけど未来の可能性が広がるような温かさがあって、好きでした。

難しいテーマも扱っているのに、物語としても引き込まれて、読み終えた後に考えが残る作品でした。
素敵な物語をありがとうございました。

その他のおすすめレビュー

まひるさんの他のおすすめレビュー10