第17話 白薔薇の秘密

夜の闇を切り裂くように車が走り抜ける。橘はハンドルを握りしめ、バックミラーで背後を確認し続けていた。後ろの車が一定の距離を保ちながら追ってくる。


「橘さん、あの車……追ってきています!」

助手席に座る鳴海夕貴が振り返りながら焦った声を上げた。


「わかってる。奴らは証拠を奪うためなら何でもするだろうな。」

橘の声は冷静だったが、その瞳は鋭く、すでに次の一手を考えている様子だ。


「どうするんですか? もし追いつかれたら……」

鳴海が不安そうに尋ねると、橘は短く答えた。

「追いつかれる前に、奴らを巻く。お前はノートを守れ。それが俺たちの唯一の武器だ。」


「でも、どこに行けば安全なんですか? 今の状況じゃどこに行っても……」

「答えはお前が持っている。それを見直して、次に向かうべき場所を探せ!」


鳴海は橘の言葉に促され、急いでノートを開いた。白薔薇計画の手書きの記録を目で追いながら、何か手がかりを探す。


「ここに……。これ、地図のようなものが書かれています。」

鳴海はノートの一部を指差した。それは雑な線で描かれた簡単な地図だったが、そこには白薔薇の紋章と、いくつかの記号が記されていた。


「地図か……?」

橘が一瞬だけ視線をノートに向けた。

「場所は特定できるか?」


「待ってください。この記号、確か……」

鳴海はスマートフォンで地図を検索し始めた。彼女の指が画面を素早く動き、ある場所で止まる。

「ここです! 都市から少し離れた山間部にある古い倉庫……たぶんこの鍵が開く場所です。」


橘はすぐにハンドルを切り、車を別の道へと誘導した。

「奴らに追われながらそこに行くのはリスクが高いが、ここで止まるわけにはいかない。」


「でも、もし追いつかれたら……」

「奴らを逆に追い詰める材料を手に入れる。それしかない。」


追ってくる車が徐々に距離を詰めてくる。橘はバックミラーを見ながら、緊張した声で言った。

「やつら、いよいよ攻撃してくるつもりだ。」


「どういうことですか?」

鳴海が不安そうに尋ねると、突然後方の車が加速し、橘たちの車の横に並んだ。窓からスーツ姿の男が顔を出し、何かを投げ込もうとする。


「伏せろ!」

橘が叫ぶと同時に、鳴海は頭を下げた。後ろの車から何かが投げ込まれ、橘たちの車のすぐ近くで爆音が響いた。


「爆発物!? こんな街中で……!」

鳴海が顔を上げると、橘は冷静に言った。

「奴らは証拠を奪うためなら手段を選ばない。だが、この状況を逆手に取るしかない。」


橘は急カーブを曲がり、追跡者たちの視界から逃れるため、わざと人気のない狭い道へ車を進めた。


「橘さん、行き止まりっぽいです!」

鳴海が焦った声を上げると、橘は前方を見据えた。狭い山道は次第に道幅が狭まり、奥には行き止まりが見えていた。


「ここで止まるわけにはいかない。車を捨てて移動する。」

橘は冷静に車を止めると、証拠の入ったバッグを掴み、鳴海に手を差し出した。

「急げ! 奴らが来る前に隠れるぞ。」


鳴海はノートと写真、鍵を抱えながら橘に続いた。二人は草むらの中に身を隠しながら、追跡者たちの動きを見守った。


追跡者たちが車を降り、辺りを捜索し始める中、一人の男が彼らの元に現れた。黒いスーツに身を包んだその男は、明らかにリーダー格の雰囲気を醸し出している。


「奴らは近くにいるはずだ。見逃すな。」

男の冷たい声が夜の静寂を切り裂いた。その声に、橘は息を呑む。


「この声……どこかで聞いたことがある。」

橘は小声で呟き、鳴海もそれに気づいた。

「橘さん、この人……?」


「まだ断定はできないが、この男が白薔薇計画の本当の実行者かもしれない。」


男は部下たちに指示を出しながら、自らも辺りを警戒するように目を光らせていた。その様子は、何かを探しているというよりも、確実に証拠を奪い返すつもりで動いているように見えた。


「奴らがこれ以上近づいたら……どうします?」

鳴海が不安げに尋ねると、橘は短く答えた。

「証拠を守ることが最優先だ。それ以外のことは後回しにしろ。」


そのとき、部下の一人が二人の足跡を見つけたようだった。

「こちらに足跡があります!」

男たちが声を上げ、一斉に草むらへと近づいてくる。


「まずい、見つかる!」

鳴海が震えながら呟くと、橘は決意したようにバッグを握りしめた。

「俺が注意を引く。お前はこの証拠を持って逃げろ。」


「無理です! 橘さんを置いて行くなんて……!」

「鳴海! これはお前にしかできない仕事だ!」

橘の鋭い声に、鳴海は涙をこらえながら頷いた。


「絶対に戻ってきてください!」

そう言い残して、鳴海は草むらを抜け、山道の奥へと走り去った。


選択肢: 応援コメントへの記載依頼


読者の皆様へ――

緊迫した状況の中で、鳴海と橘は次の一手を模索しています。あなたの選択が、この物語を動かします!以下の選択肢から直感で選び、応援コメント欄に 「1」または「2」 の番号を記載してください。番号だけの記載でも大歓迎です!

1.鳴海が鍵の場所に向かい、証拠を守り抜く

→ 鳴海が証拠を持って鍵の場所を目指し、さらなる真実を追う。

2.橘が追跡者を翻弄し、鳴海の時間を稼ぐ

→ 橘が追手の注意を引きつけることで、鳴海が安全に逃げられるようにする。


締切は明日7時まで!

あなたの選択が物語を大きく動かします。ぜひコメントで教えてください!


読者へのメッセージ


「読者の君へ――」

物語は佳境に入りつつあります。白薔薇計画の核心に迫るためには、鳴海と橘のどちらかが犠牲を払わなければならない場面に差し掛かりました。どちらの行動が事件の真実に近づくのか――君の選択が、彼らの運命を決める。慎重に、そして大胆に選んでください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る