第6話 三栄建設への突入
「ここが三栄建設か……大きいですね。」
鳴海夕貴は眼前にそびえ立つ三栄建設の本社ビルを見上げた。高層ビルのガラス窓が曇り空を映し出し、不気味な静けさを放っている。
「大きさに怯むな。その中身は腐っている可能性が高い。」
隣で橘が冷静な声で答える。彼は既に目の前の自動ドアを見据え、次の一手を考えているようだった。
「分かっています。ただ……なんだか、緊張しますね。」
「警察の勘を信じろ。俺たちがここにいる理由は明白だ。」
二人は無言のまま自動ドアを通り抜け、受付に向かった。
「警察です。西田貴彦さんにお話を伺いたいのですが。」
鳴海が毅然とした態度で受付に申し出ると、受付の女性は少し戸惑った表情を浮かべた。
「少々お待ちください……。」
女性は内線電話で連絡を取り始め、鳴海と橘はその様子をじっと見守った。
数分後、スーツ姿の男性がエレベーターから降りてきた。彼の鋭い目つきが二人を捉える。
「私が西田ですが……警察が何の用ですか?」
「再開発計画に関する資金の流れについてお話を伺いたいと思います。」
鳴海が静かに切り出すと、西田は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。
「こちらへどうぞ。」
西田は二人を会議室へ案内した。その間、鳴海は西田の背中をじっと観察していた。彼の動きには自信と余裕が感じられるが、その奥に隠された何かを鳴海は感じ取っていた。
「それで、警察が資金の流れについて何を疑っているんですか?」
会議室に入るなり、西田は挑発的な笑みを浮かべて口を開いた。
橘が冷静に資料をテーブルに置く。
「これが、あなた方の関与を示す証拠です。」
テーブルに広げられた書類を見た西田の表情が一瞬固まる。だが、すぐに笑みを浮かべ直した。
「これは何かの誤解でしょう。当社は正当な手続きを踏んで再開発を進めています。」
「それにしては、不自然な個人名義の口座が記録に残っていますね。しかも、再開発とは関係のない金が頻繁に動いている。」
鳴海が鋭く指摘すると、西田は目を細めた。
「なるほど……そういうことですか。」
西田は背もたれに深くもたれかかり、腕を組んだ。
「警察というのは、些細なことで騒ぎ立てるのがお得意ですね。」
「些細なこと……?」
鳴海が声を強めると、西田は冷静な表情のまま答えた。
「ええ。こんな紙切れ一枚で私たちを疑うのは、少々無理がありますね。」
「では、この白い粉についてはどう説明するつもりだ?」
橘が資料の中からコンテナで見つけた覚醒剤の写真を取り出して見せると、西田の表情がわずかに歪んだ。
「それが当社と何の関係があるんです?」
「現場にあったコンテナに、三栄建設のロゴが刻まれていた。」
橘の言葉に、西田は一瞬口を開こうとしたが、すぐに黙り込んだ。
「あなたは何かを知っている。そうですね?」
鳴海がさらに詰め寄ると、西田は笑みを浮かべて立ち上がった。
「ふん……これ以上の話は、弁護士を通してください。」
そう言い残して部屋を出て行こうとする西田を、橘が低い声で呼び止めた。
「美月を殺したのは、あなたではないのか?」
その一言に、西田の足が止まる。振り返った彼の目には、今までとは違う鋭さが宿っていた。
「……殺人など関与していませんよ。ただ……知っているだけです。」
「何を?」
「誰が真犯人なのか……だ。」
「真犯人とは誰のことですか?」
鳴海が追い詰めるように問いかけると、西田は少し笑みを浮かべた。
「それは、君たち自身で考えることだろう?」
西田はそう言い残し、会議室を出て行った。
「橘さん……あの態度、何か隠してますね。」
鳴海が振り返ると、橘は腕を組んだまま静かに考え込んでいた。
「……西田が言いたかったのは、俺たちが見落としている何かがあるということだ。」
「何かって……?」
「例えば、俺たちが信用している情報の中に、嘘が紛れ込んでいる可能性だ。」
会議室を出た鳴海と橘は、エレベーターでロビーに向かっていた。
「次はどうしますか?」
鳴海が問いかけると、橘は静かに答えた。
「西田の言葉を分析する。それが俺たちの次の行動を決める。」
その時、鳴海のスマートフォンに一通のメッセージが届いた。送信元は不明。
「お前たちに近づくな――これは最後の警告だ。」
鳴海がそのメッセージを橘に見せると、彼の目が険しくなった。
「これは、奴らが焦り始めている証拠だな。」
選択肢: 読者への問いかけ
鳴海が次に取るべき行動を選んでください。
選択肢によって物語の進展が変わります。
1.西田の言葉を基に再開発現場を再調査する
→ 再開発現場に戻り、西田が暗示した「見落とし」を確認する。
2.非通知メッセージの送信元を追跡する
→ 脅迫メッセージを元に、黒幕が誰なのかを掴む。
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あなたの直感を信じて、次に進む道を選んでください!
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あなたの選択が、鳴海を導き、物語の行方を決定します。
読者へのメッセージ
「読者の君へ――」
「西田は鍵を握る男だが、彼の言葉には謎が多い。次にどこを追うか、それを決めるのは君だ。
見落とした真実を探るか、それとも新たな影を追うか。どちらの道も危険だが、真実への道だ。君の選択が、俺たちを導いてくれる。」
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