(うーん…あれ、これって夢…?)

桃音は周りを見渡した。だが、一面真っ暗で何もなかった。おそらく夢の中なのだろう。すると、急に目の前に小さな少年が現れた。

「ねえ。」

「ど…どうしたの?」

「君は何であの弥生時代みたいなところに行ってしまったか知ってる?」

「いや、わからないけど…」

「教えてあげるよ。」

「何?」

「それはね、実験だよ。」

「実験?」

「そもそも、君があそこに行くときに黒い物体にぶつかったでしょ。」

「うん…」

「あれって実は瞬間移動するためのゲートみたいなものなんだ。」

「瞬間移動?」

「うん。そもそも、あそこは弥生時代なんかじゃないんだよ。」

「え?あそこって弥生時代じゃないの?」

「うん。あそこは弥生時代に似せた別の星なんだ。」

「弥生時代に似せた?それって誰かが作ったってこと?」

「うん。君は宇宙人を信じてる?」

「まあ、いるとは思うけど…」

「君がいたのは宇宙人が作った星で、宇宙人はそこに飛行機を瞬間移動させたらどうなるか実験したんだよ。」

「まって…話が急すぎて混乱する…」

「君も話してたじゃん。ここが弥生時代なら自分たちの言葉が通じるのはおかしいって。」

「ああ…そういえば…」

「君たちと作った星の住民が会話できるようにするために宇宙人は星の住民の言葉を現代の日本語にしたんだよ。そうだとしたら辻褄が合うでしょ。」

「確かに…」

「あ、もうこんな時間か。じゃあまたね。」

「ちょっと、どこ行くの?」

桃音はそう呼び止めたが、少年は暗闇へ消えてしまった。すると、桃音は目を覚ました。

「やっぱり夢か…」

1時間後

「っていう夢を見たんですよ。」

「ここは宇宙人が作った星か。確かにそれだと辻褄が合うな。」

桃音は夢で見た内容を健人に話していた。

「もしそれが本当だとして、宇宙人の実験の目的が気になるな。単なる興味なのか、それとも宇宙規模の実験の一環なのか。」

「確かにそうですね。」

その夜

桃音は藁の上で寝ていた。

(またあの夢見れるかな…もし同じ夢を見たら何を質問しようかな。)

桃音はそんな事を考えていると、すぐ眠りについた。

(うーん…あれ、またこの夢だ!)

桃音はまた夢の中で同じ暗い空間にいた。

「やあ、また会ったね。」

暗闇の中から同じ少年が出てきた。

「君、いったい何者?」

「僕?そうだな…実験の関係者とでも言っておこうかな。」

「え?じゃあ君宇宙人なの?」

「どうだろうね。」

「隠さないで教えてよ。」

「じゃあしょうがないから教えるよ。僕は宇宙人に拉致された地球人だよ。」

「どういうこと?」

「宇宙では地球くらいの文明の星を第1文明と言うんだけど、宇宙ではその第1文明の星の住民が拉致されることがたくさんあるんだ。一応宇宙法と言うものではそれは禁止されてるんだけど、罰則が少しの罰金だけだから拉致がたくさん行われてるんだ。僕もそれで宇宙人に拉致されてきたんだ。」

「何それ、SFの世界?」

「現実だよ。それで、僕は拉致された後宇宙連合と言うものの研究チームで働いたんだ。」

「君子供なのにそんなところで働けるの?」

「僕は子供じゃないよ。この姿も君の夢の世界だけの姿さ。実際はただの大人だよ。話を戻すけど、研究チームで第1文明の中でも進んだ方の文明である地球の乗り物を、地球の昔の文明の星を作ってそこにワープさせたらどうなるか実験したんだ。」

「それで私たちがあそこに来たってこと?」

「うん。でもワープに不具合があったみたいで、君たち以外の飛行機に乗っていた人たちはワープできなかったみたいなんだ。」

「だからワープしたあと客室に誰もいなかったんだ。」

「そういうこと。君は飲み込みが早いね。」

「待って、何で君は私の夢の中に入れてるの?」

「正直僕は実験に反対だったんだ。自分の故郷の星の住民がモルモットみたいに扱われるのが気に入らなくてね。でも反対した研究員は自分だけだったから実験は行われたんだ。でも実験に反対な気持ちは変わらなかったからこうやって君の夢の中に入って君たちを元の場所に戻そうとしてるんだ。宇宙では人の夢の中に入るための機械があるから君の夢の中に入るのは容易なんだ。」

「なるほど…でもどうやって私たちを地球に戻すの?」

「ワープだよ。君たちが飛行機に乗ったら僕が飛行機をワープさせるゲートを作るからそこに入ればいいんだ。実は、研究員たちはもうすぐしたら実験は終わりということで星を人工的に作った災害で無くすつもりなんだ。」

「えぇ!?」

「あ、もう時間だ。じゃあまたね。」

「あ、ちょっと待ってよ!」

桃音はそう言うが少年はすぐ暗闇へ消えていった。

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