王
飛行機が着陸したのは何も無いたいらな場所だった。奥には原始的な建物がたくさん建っていた。
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。」
「とりあえず降りるか。」
「はい。」
2人は席を立ち、扉がある客室に向かった。
「疑ってはいなかったけど、本当に誰もいないな…」
健人はそう言い、客室を見渡した。だが、人っ子一人いなかった。健人はドアを開け、緊急脱出用スライドを展開した。2人はスライドを滑り、地面に降り立った。2人が降り立った場所は何も無く、芝生があっただけだった。2人が周りを見渡してると、奥からたくさんの人が走ってくるのが見えた。2人は人がいるのを見て、助けを求めるためにたくさんの人たちのところへ走った。だが、2人は走ってる途中で違和感を覚えた。なんと、走ってくる人たちは全員弥生時代のような服を着ていたのだ。2人は昔の日本にタイムスリップしたのではないかと思った。走ってくる人たちが2人の目の前まで来ると、1人の老人が出てきてこう言った。
「神様、ようやく私たちの前に出てきてくれたのですね…!」
2人は困惑した。自分たちが神様だと?そんなわけない。2人はそう思った。
「いや、私たちは神じゃありません!人間です!」
「でも、空を飛べるなんて神様しかできないのでは?」
もしここが昔の日本だとして、この時代に飛行機で空を飛んだことによって、自分たちが神様と勘違いされてるのではないかと2人は思った。
「あれは、神様の乗り物ですか?」
「だから、神じゃありません!」
「ともかく、私たちのくにに来てくれませんか?」
2人はどうしようもないため、とりあえず目の前の老人の言う通りにした。2人はたくさんの人に囲まれてまちに向かって歩いた。少しすると、たくさんの原始的な建物が建っている場所に着いた。
「神様、この度は私たちのくにに来てくださりありがとうございます。実は私たちは困っていることがあるのですが、解決してくれますか?」
2人は何度も神じゃないと言ったが、聞いてないようだった。
「実は、私たちのくにでは王というものが必ず2人いるのですが、その王が決まらないのです。」
「どうして決まらないのですか?」
「王は半年以内に大きな成果を上げられないと処刑される決まりだからです。それで誰もなりたがらないのです。」
「まさか、そんなものになれと言うんじゃないでしょうね?」
「そのまさかです。神様なら半年以内に大きな成果を上げられることでしょう。」
「いやいや、私たちだってそんなものになりたくないですよ!」
「お願いです。王になってください。」
老人はそう言って頭を下げた。2人はどうしようもないため、王になることを許してしまった。
翌日
2人は王になり、人々の前に現れることになった。人々は2人のことを神様と思っているため、神様が王になったということで多くの人が2人を見に来ていた。2人は全体的に白い、このくにの王の服を着た。2人は草履を履き、髪飾りのようなものを着けた。
「機長、結局王になることを許してしまいましたけど、大丈夫でしょうか…」
「まあこのくにの人々は俺たちのことを神だと思ってるし、神のように振る舞おう。あと、今は仕事中じゃないから名前で呼ばないか?」
「分かりました。健人さん。」
「さん付けじゃなくて良いからな。」
「分かりました。健人。」
2人が会話していると、姿を見せる時間になった。2人は人々の前に現れ、ゆっくりと歩いた。人々は2人を神と信じてるため、たくさんの歓声が上がった。
1時間後
2人は人々姿を見せたあと王の部屋に戻って老人から王がすることを聞いていた。基本王はくにを運営するだけなのだが、このくにの王は条件があるようだ。条件1つ目は王になってから半年がたっても大きな成果がなかった場合、王は処刑されるということ。2つ目は、1ヶ月に1回結霊という儀式をしなければならなく、これを怠ると処刑されるということ。この2つさえ守れば大丈夫と老人は言った。
30分後
老人は部屋から出て、部屋には2人だけになった。
「なんだかこのくに物騒ですね。結霊という儀式に関しては儀式をするのを怠らなければいい話ですけど、王になってから半年がたっても大きな成果がなければ処刑されるって、どうしようもないじゃないですか。そもそも、大きな成果っていうのも具体的にどういう成果なのかも分からないし。」
「そうだな、まあしょうがないさ。とりあえず今は今のことを考えようぜ。」
「そうですね。」
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