エクスペリメント

小城海馬

ワープ

「もうすぐ着きますね。」

そう言ったのは宮戸桃音(みやどももね)、副操縦士で28歳の銀髪の女だ。

「ああ、そうだな。」

そう言ったのは白河健人(しらかわけんと)、機長で30歳の男だ。

「あと1時間で着陸だ。天気と風と滑走路の滑走路の情報を問い合わせてくれ。」

「了解しました。」

桃音はそう言うと、タブレットを操作した。

「現在羽田空港は視界は5000フィートのようで、今後良好になる模様、風はほぼ無風です。滑走路は16L、Rともにインユーズのようです。」

「分かった、ありがとう。」

2人が会話していると、桃音が違和感を覚えた。

「あれ…なんだろう…」

「どうかしたか?」

「よく見たら奥に黒っぽいのがある気がするんですけど…」

桃音はそう言って目の前の空を指差した。健人は桃音が指差した先を見た。すると、謎の黒い物体が空中に浮いていた。いや、ワープするための入り口とでも言うべきだろうか。しかし、健人は何とも思っていなかった。

「どうせ他の飛行機だろう。そんなことより、管制とコンタクト取ってくれ。」

「分かりました。Tokyo APP, sky japan428, leaving 7500 descending 6000.(東京アプローチ、スカイジャパン428便、7500フィートから6000フィートに降下中。)」

「Sky japan428, radar contact, vector to RW16R RNAV APP.(スカイジャパン428便、レーダーで捉えました。RNAV方式でランウェイ16Rまで誘導します。)」

「Roger, RW16R APP, sky japan428.(了解、ランウェイ16R、スカイジャパン428便。)」

桃音が管制とコンタクトを取っていると、空中に浮いていた謎の黒い物体がどんどん近づいてきた。その形は楕円形のような形をしていた。健人も謎の黒い物体が飛行機ではないことに気づき、不思議そうにしていた。すると、謎の黒い物体が急に飛行機の目の前に瞬間移動した。あまりの急な出来事に2人は対応することが出来ずに、飛行機そのまま謎の黒い物体に衝突した。


「おい!大丈夫か!」

桃音は謎の黒い物体とぶつかった時の衝撃で一瞬気を失ってしまったようだ。桃音が目を覚ますと健人が手動で飛行機を操縦していた。どうやら謎の黒い物体と衝撃した時にオートパイロットが外されたらしい。計器も動いていなく、警報がなっていた。桃音がコックピットの窓から下を見ると、古代日本の住宅のような建物が立ち並んでいた。

「副操縦士は客室に行って客室乗務員を呼んできてくれないか?」

「分かりました。」

桃音は席を立ち、客室に向かった。だが、桃音が客室に着くと、なんと客室乗務員はおろか乗客も乗っていなかったのだ。桃音は客室のすべての場所を見たが、人っ子一人いなかった。桃音は急いでコックピットに戻った。

「機長、客室に誰もいませんでした。」

「何?どういう事だ?」

「客室に人っ子一人いないんです。どこを探しても誰もいませんでした。」

「くそ、何がどうなってるんだ…」

「あと、なぜか下を見ると原始的な建物しか建ってないんですが…」

「それなんだが、実はここどこか分からないんだ。GPSもなぜか動かなくなったし…それになぜか燃料がなくなりそうなんだ。」

「とりあえず着陸できる場所を探しませんか?何がどうなってるかはわかりませんが、辺りを見渡しても空港は無さそうですし、とりあえず減速して高度を下げてフラップとギアを下げましょう。着陸できそうな場所があったらそこに着陸しましょう。」

「ああ、分かった。」

健人は桃音にそう言われるとエンジンの出力を下げ、高度を下げ、フラップとギアを下げた。

「あそこ、着陸できそうです!着陸しましょう。」

「分かった。」

健人は操縦桿を握り、飛行機をたいらで何も無い場所に着陸させた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る