第6話
店内は昼時とあって様々な客層でにぎわっている。
そんな中では似てはいないものの迅と少女の関係は親子の様に見えるかもしれない、だがテーブルの上に置かれた様々な料理の量は明らかに異常だろう。そしてそれを・・・
「もぐもぐ」
ただただ口に詰め食べている少女の様子に周りの人々はチラチラと見て喋り、厨房は慌ただしく動いている。だがそんなことお構いなしに食べ続ける少女を見ながら迅は既に自分の食事を終え、待つようにコーヒーを啜る
「・・・よく食うな」
見ているだけで腹が満たされるような光景に思わず迅は呟く
「外に出て食事は久しぶりなの・・・昔よりおいしい」
「そうかよ・・・で?なんでお前は誰なんだ?」
やっとある程度食べ終えてデザートに手を付けたときに迅は少女に問いかける。
少女は一口、デザートを食べると食器を咥えたままテーブルを軽く指で叩く
すると
「・・・は?」
すると突如として迅は今まで聞こえていた店内の音が聞こえなくなった、すぐさま立ち上がり周りに目を向けるがそんな迅の様子、そして今まで少女の食べっぷりに目を向けていた人々は何事もなかったかのように食事を続けている
「防音と認識阻害の結界、これならいくら声を出そうが騒ごうが大丈夫」
少女はそういうと再びデザートを食べ始める
「・・・っはは」
淡々と少女は説明をしたが迅は空笑いをするしかなかった。
少女がしたのは俗に魔法と言われる摩訶不思議な力、何もないところに火を熾し、水を出し、風が吹く。様々な事象を起こすことができる力
魔法の使える知人に聞いたことがある。
どんな天才であれ、魔法を使う際はよく分からない言語、詠唱を必要、思っているより便利なものではないと言っていた
だが目の前の少女は何をした?、ただ指でテーブルを叩いただけというなんてことのない動作、それだけで魔法を使ったということに驚きを通り越して笑うしかない
「・・・お前は一体なんなんだ?」
再び迅は少女に問いかける。少女はデザートを一通り食べ終えたのか一息つくとようやく迅を見つめ口を開く
「■■■■」
「・・・は?」
何度目になるのか分からない言葉を発する
少女は名乗った。だが何と言った?明らかに日本語ではない、例え外国語だろうとイントネーションはなんとなく聞き取れるはずなのに
迅の驚いている様子がおもしろいのか、少女は笑って迅を見つめている
「やっぱり今の子達じゃ聞こえないのね」
そういうと少女は咳ばらいをして再び口を開く
「アイリス、それが私の名前」
「・・・・・・」
少女、アイリスという名前を迅は頭の中で探す
だがその名に心当たりがなく、眉間に皺を寄せる
「まあ、知らないのも無理はないわ、名前なんていくつもあったわけだし・・・貴方にわかるように言うなら・・・」
少しずつ化けの皮が剝がれてきたのか、アイリスは不敵な笑みを浮かべ、わざとらしい考える素振りを見せ目を瞑り、そして開かれる
「
いままで見ていた眼の色とは違う・・・虹色の眼を現した
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