第7話 シシルナ島
彼は魔術師と取引をし、ダンジョンから魔石を取りに行こうとしている。
しかし途中で氷魔鳥に遮られ、どうやら家の周りを飛び回るしか無いらしい。
「じゃあ、次の誕生日プレゼントは弓にしましょう」
16の誕生日までに届くよう、私は王国に伝わる魔法の弓を手配した。
「遠征の準備が整いました」
騎士団長のセオから声がかかる。
「そう。じゃあ、行きましょう」
私は戦闘服に着替え、一歩を踏み出す。
これから私たちは南の半島へ向かう。自由都市連合を傘下に加えるための旅だ。
だが、それは決して領土的な野心ではない。
目的は、『大陸全土で発生する魔物のスタンピードを阻止すること』だ。
過去に平和的外交で協力を呼びかけたものの失敗に終わり、甚大な被害が出た。
武力に頼らない一般市民でも魔物に立ち向かえる術を作る。それが私たちの使命だ。
ただし、期限はわずか三年――猶予はない。
「姫様、危険です」
第一王子の死後、私の動きを危惧する声は多い。
「あんな小娘に戦いの何がわかるのか」
王国軍部からの愚痴が耳に入ることもある。
私には魔力がない。簡単なヒール魔法すら使えない。
それでも、都市国家の重要人物との交渉を他者に任せるわけにはいかない。
私自身が信奉者や協力者を作るには、直接会うしかないのだ。
私には過去の経験がある。敵の手の内や戦術をある程度読める。
待ち伏せの場所、戦いの仕掛け方。それらを予測して言葉にすると、それが成果となり、次第に信頼を得ることができた。
半年をかけ、ついに半島の都市国家を王国の傘下に加えることに成功した。
春になり、彼の動向を伝える手紙が届く。
「魔女に魔力を与えたら、魔物の卵をもらった……」
まったく、何をやっているんだか。その手紙を手にして、ほっこりし、思わず笑みがこぼれた。
若き豪商のネットワークを通じ、王国最大の敵の動向がもたらされる。
「やっぱり動いたか!」
その敵とは、シシルナ島――都市のある半島の先に浮かぶ島だ。
別名、海賊島。
その島の主は、名の通り、海賊だ。
目前の海に、多くの海賊船が並ぶ。
「王女とやら、この島は渡さん!」海賊達の首領、女海賊の姿があった。
後書き
いつもご拝読ありがとうございます。よろしければ、⭐︎や♡でご評価頂けると幸いです。
関係は殆どありませんが、シシルナ島物語も、ご覧いただけると幸いです。
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