第20話 西国の大大名
(土佐屋の名はさすがのものだ)
改めて感じ入るほどであった。
材木の注文、人足の手配などで飛び回っているうちに、あっという間に時は過ぎて行った。そんな時、ある噂を耳にした。それは、梅二の処も大きな請け負ったという話だった。そのうち、噂は本当の事だと分かった。さる西国の大大名が
「あの野郎」
一人、自分の部屋で深酒した時、思わず大声で叫んだのだ。お美代が驚いて起きたほどだった。
「あんた、どうしたの」
お美代はこわごわ聞いてきた。
「ああ、すまねぇ、起こしっちまったか」
お美代は、佐吉の座った眼を見て悟ったのか、
「梅二さんの事でしょ。気にすることなんかないわよ。あんたの方がずっと腕が上だもの。お父つぁんも言っていたわ。自信持てばいいのよ」
「女ってのは気楽なもんだな、もう寝るか」
一人つぶやくと、そのまま掛け布団をかぶって横になった。
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