第17話 図面
四十九日の法要も終わり、すべてが何事もなかったような日常に戻った。豊三の居た六畳間も主を亡くし、しばらくは
「只の六畳間にも、それなりに
佐吉が妙な感傷に浸っていた時だった。
「親方、すまねぇ、忘れちまっていたよ」
次も引き出しも同じく請け負った仕事の図面であった。ここには、佐吉も見たことがある懐かしい図面が沢山あった。その次の引き出しは、請け負った仕事の金額、材料費、人足代などが細かく記された
「そう云えば、上から二番目とか言ってたな」
豊三の声を思い出した。考えてみれば、いまわの際に、絞り出すように言った言葉を忘れてしまっていた。
「いけねぇ、こいつぁ罰が当たるぜ」
そう云うと、佐吉は
「こ、こ、こりゃすげぇ」
佐吉は
そこにあったのものは、京、奈良の主な神社仏閣の図面であった。清水寺、八坂神社、妙心寺、薬師寺、他にもまだまだあった。それぞれ表紙に寺、神社の名が記され、構造部分が細かく図面化されていた。
法隆寺の図面もあった。特に、五重の塔については
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