第13話 蜘蛛の巣
佐吉は豊三に
「かか
豊三は、庭の向こうの遠くに
「まことにそのとおりで、すみません」
「馬鹿野郎、おお俺は
そう云うと、また、豊三は顔をくしゃくしゃにして笑った。
豊三の言った通り、佐吉はあの折り、名高い神社や仏閣はもとより、荒れ果てたどうでも何か気になるものは、くまなく観察して回ったのだ。
外観もさることながら、佐吉の興味はその構造にあった。江戸の神社や仏閣は、家康が江戸に入って以来が殆どであるから、古いものでもせいぜい五十年余りしか経っていないのに対し、京、奈良のものは、何百年、法隆寺至っては千年経っているのだ。江戸の五十年余りのものでさえガタがきて、修理、修復が必要なものが多いのにかかわらず、千年経っても何の変りもなくたっている建造物の不思議を確かめてみたくなったのだ。
江戸を立つ時から願っていたのだが、上方で豊三が思わず
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