第11話 左甚五郎
「そ、そうかい。で、でかしたな」
久々に聞く豊三の張りのある声だった。
「誰か来てるのかい」
佐吉はお美代に訊いた。
「
お美代は、持って来た酒を一本
「おい、酒なんか出していいのかい。甚五郎さんはともかく」
「甚五郎さんの持って来たお酒は特別なんだって。どうしても一本漬けろっていうんだよ。なにしろ、
「公方様が?」
どういう事かよく分からなかったが、ともかく二人が話している豊三の
「これは甚五郎兄さん、お久しぶりで」
久しぶりに甚五郎は以前よりも若くなっているように思えた。
豊三は、佐吉を見ると、
「おい、じじ甚五郎の
病人とは思えない大声で甚五郎を褒めた。
「そいつぁーてぇーしたもんだ。恐れ入りやした甚五郎兄さん」
佐吉はそう云うと、両手を合わせて甚五郎を
「お二人もやめておくんなせぇー」
甚五郎は、
豊三は、お美代の運んで来た酒を
「ああ、こここりゃ
と云って、嬉しそうに笑った。
甚五郎、通称、
常々、
「
と云って、よく褒めた。
今回の
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