濡烏

心臓病で入院している美咲。カラスに話しかけ、一人でぶつぶつ会話をするようにしゃべり続ける。
折り紙が欲しいと言うので看護師が買ってくると、彼女はすべての色を真っ黒に塗りつぶして鶴を折る。
「どうして黒にしちゃったの？」
「カラスだから」
不気味な少女に看護師たちは遠巻きに見守る。彼女には友達がいるらしいが、誰もその姿を見たことはない。
「カラスって、死体に集まるんだってね」
「そうだね」
「美咲が死ぬの、待ってるんだよあのカラス」
「カラスのこと、わかってないんだね。教えてあげる」
彼女は確かにそこにいる。
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ホラーではありません。じんわり温まる系を目指しました。