お留守番(双子0歳)

第92話

八雲side



「じゃあ……」




時間になったから、ハイネは立ち上がるとベビーベッドでスヤスヤ眠る子供達の所まで行き、額に優しくキスをする。




「いってきます。八千流、ハイド」




そして、我が子達の寝顔を見て笑う。



もうお母さんの表情だ。



それでも可愛いが。


お母さんになっても素晴らしく可愛いが。




天国だな、ここは。



愛しい愛しい妻がいて、可愛い可愛い我が子達がいて。




「でも本当にいいの?八雲さん」




玄関で靴を履き終えたハイネが振り返る。




「もちろん。今日は子育てのことは忘れて、ゆっくり楽しんでおいで」




二児の母になっても艶々の頬を撫でて言う。



仕事が忙しく、なかなか子育てに参加してやれない俺は、今日の自分の休みにハイネに休んでもらうことにした。



八雲さんはせっかくの休みだから休んで!!と、ハイネは言ってくれるけど。




たまには俺もパパとして頑張らないとな。




ちょうど桐子ちゃんが買い物に誘ってくれたらしく、行くことにしたのだが……。



自分1人が遊ぶというのに罪悪感を持っているようで。



本当にいつまで立っても自分より"家族"を優先するのだ。




ちょっと困ったような表情のハイネが可愛くて、淡いピンクの口紅をつけた唇にキスをする。



美味しい。


苺味。




唇がついたであろう唇をペロッと舐めれば、ハイネの顔が真っ赤になってた。



いつまで立っても可愛い。




「ハ……」



「チーービーーネーーッ!!」



「っっ」




チャイムを鳴らさず、蓮が入ってきた。



今日は蓮がハイネ達に付いていく。



だから買い物に行くのも許したのだが。



こんな可愛くも綺麗になったハイネだ、桐子ちゃんと二人だけなら、男どもが寄ってくるに違いないからなっ。




しっかし、タイミングの悪い奴め。




俺はデロッデロに溶けた表情で笑う蓮を睨んだ。

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