第91話

姉のために、りんごを1人で買いに出、お金を無くしても諦めず。



怪我をしても泣かず、八百屋のおっちゃんの所ではオマケしてくれたおっちゃんの心配をし。



おっちゃんと俺に素直に礼を言い、そしてチビネの心配に素直に謝れたこと。



そんなハイドの頑張りに、これまた素直に礼を言えた八千流。



こんな素直で優しい頑張り屋の子達になっているのは……




「お前が心から愛し、育て、言い聞かせているからだろう」




子は親の背を見て育つ。



双子達は確かにお前の背を見て育ってるよ。




「蓮くん……」



「お前は良い母親だよ。俺が胸を張って保証してやるよ」



「ありがとう蓮くん。蓮くんはあたしを喜ばす天才だね、昔から」



「くくっ。そうか?」



「うん!!」



「お前達は俺の心を掴んで離さない天才だがな」



「ハハッ!!そうなの??」



「ああ」




もうずっと鷲掴まれたままだ。



出逢った時から。


無事に産まれてきてくれた時から。




「蓮くん」



「ん」



「大好きだよ」



「おっ!?なんだ、なんだ!?」



「照れてる?」



「照れてませんー」



「えー」



「ハイネ」



「ん?」



「俺もお前達が大好きだ」



「知ってる」



「だよな」




背中合わせのまま笑い合ってれば




「れーーんっ!!」



「「ん?」」




トテテと走ってくるハイド。



お?


寝たんじゃなかったのか?





ハイドは俺の所まで来ると、きゅっと抱きついてきた。




そして




「きょうはありがとう!!はいどね、はいどっ、れーんがだいすき!!」



「っっ」




親子だなぁ。




「俺もハイドが大好きだ」



「えへへ」




小さくて温かな体を抱きしめる。



背中と前が温かい。



愛しい温もり。




「またいっしょにおでかけしてくれる?」



「ああ、もちろんだ」




お前が、八千流が望むならいつでも。




「あっでもちゃんとママに言ってからな」



「はーい」




ままこわいもんね。


なっ。



なんて小声で言い合ってたら




「聞こえてますけど」



「「!!??」」






れーんとハイド[完]

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