第90話

ーーー……


ーー……


ー……



夜になって八雲が帰ってきたから、双子達の寝かしつけは任せて俺はリビングの絨毯に座りビールを飲んで一息ついていた。




今日はお泊まりになったから飲んでよしっ。




「蓮くん」



「チビネ」




トスッ。



俺の背中にチビネが背中を合わせて座る。



慣れ親しんだ重みと体温。



母になった今も、可愛い妹。




「今日は本当にありがとう」




スッとおかわりの缶ビールを差し出され受け取れば、そう言われる。




「俺はなんもしてねぇよ」




ハイドを見つけただけだ。




「ううん。ハイドを見つけてくれた。傷の手当てをして助けてくれた。ありがとう」




蓮くんが見つけてくれなかったら……



と体を震わすチビネ。




「チビネ??」




元気がない??




「あたしはダメな母親だなぁ……」



「あ??」




チビネがダメな母親??




んなわけあるかっ!!




「八千流のために頑張ったハイドを理由も聞かずに叩いちゃった……」




己の手を見るチビネ。



あの後、皆でりんごを食べながらハイドの話を聞いた。




『おいしいっ!!すごくおいしいよっ!!はいどっ!!ありがとう!』



『げんきでた?やち?』



『すっごくでた!!』



『よかったぁ……』




双子がキャッキャッとお喋りしてる中、浮かない顔をしてると思ったが、そんなことを考えてたのか。




ゴチッ。




「ぬ!?」



「あれは仕方ない。言って行かなかったハイドも悪いし。それほど心配したってことだろ」




俺は後頭部でチビネの頭を頭突く。




「……うん」



「俺は今日のハイドを見て、お前を誇るけどね」



「え??」

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