第11話
十分写真を撮って満足した蓮くんが二人の頬を突ついて、あたしを見る。
「チビネも少し休め。ご飯は俺が作るから」
「でも・・・」
「いいから」
そう言って寝室を出ていく蓮くん。
「ハイネ」
ポンポンとハイドの横の空いたスペースを叩く麻也。
蓮くんが出ていったドアと麻也を交互に見るも。
「ハイネ」
麻也の強い声には勝てず、寝転んだ。
我が子二人の安心しきった寝顔にまた泣きそうになる。
「ハイネが不安だとチビ達もそれを感じとって、ハイネ以上に不安になるんだよ」
子供は純粋で敏感だ。
そばに居る人の感情は特に深く感じとる。
八千流の頭を愛し毛に撫でながら、ゆっくりあたしを諭すように言う麻也。
確かに今回は二人とも同時に風邪を引いて、八雲さんも居なくて、ずっと不安だった。
「そっか・・・だから・・・」
ずっとずっと泣いてたんだね。
ごめんね。気付けなくて・・・。
ハイドをキュッと抱き締める。
「新人ママなんだから、仕方ないよ。今回のことで学んだからもう大丈夫でしょ?」
柔らかく微笑んで今度はあたしの頭を撫でてくれる。
そのカッコ良くも色っぽい微笑みに、不覚にも顔が赤くなってしまった。
本当に男っぽくなって。
「ありがとう。麻也。でもごめん。勉強しなきゃならないのに・・・」
麻也は今、獣医になるために勉強と研修の毎日だ。
早く一人前になりたいと寝る間も惜しんで勉強をしてるのに・・・。
「ごめん」
「バーカ。大事な妹が大変なときに助けられないほど俺は馬鹿じゃないよ。それに・・・」
言ってる途中で、立てていた肘を伸ばし、ベッドに寝転がる。
「今寝る」
そう言うと同時に、既に寝息が聞こえてくる。
早っ‼
でもそれだけ疲れてるということで・・・。
「ごめんね。ありがとう」
麻也に毛布をかける。
「おやすみ。八千流、ハイド、麻也」
八千流とハイドにいつもするように額にキスをして、あたしも横になればすぐに睡魔が押し寄せてくる。
ありがとう。
ありがとう、蓮くん、麻也。
あたしは本当に幸福者だ。
こんなに愛しくも優しい家族たちが居てーーーーー。
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