第33話 友達
龍との生活が始まった。皆怖がり近くまでは来ないが少し離れた所から様子を見ている。
「皆近付いてこないね」
「普通はそうだ。なぜお前は平気なんだ?」
「何でか……何でだろう?普通に知り合ったし仲良くなりたいなら相手の事を知りたいと思うのが普通では?……あっもしかして何か邪魔してた?嫌なら言ってねすぐ離れるから」
「お前は本当に人間か?」
「それは俺が人だと言いたいのか?間が抜けてると……ごめん意味わからないよね」
「何が言いたいかは分からないが別に嫌ではない」
「話変えて悪いが人間の姿には成れないの?」
「出来るぞ。その方が消費する食料も少なくなる。そうだな無駄に食い過ぎても良くないし小さくなるか」
そう言うと龍は大人の男になった。
質量保存の法則とは何だったのかと思ったがそれが魔法の力なのかと再確認できた。
「その姿でも凄く存在感ありますね……。少し抑えたりできたら皆も近付きやすいかと」
「簡単だ。……これでいいか?」
「凄い!今までに威圧感がきえた」
「でもな……急に気配消えると気になって仲間が来るかも……」
「仲間思いなんですね」
「ん?違うぞ。俺が死んだら次の代表に成りたい奴が多いんだ。」
「なんでそんな代表とかになりたいのでしょうか?」
「自分が一番だと自他共に認めたいのだろう」
「俺なら強い力が有ればいろいろな所に旅に行きたいですね。この世界には知らないところが多いから」
「そうか旅か……。もう長い間遠くへ入ってないな。旅立つときには教えてくれ。同行したい。お前の考え方は今まで近くに居た奴と何か違う。旅に出ても楽しめそうだ」
「それも良いですね。俺も龍族の常識とかを教わりたいです。ただ旅に出るときは俺の妻たちも同行することになると思うけど大丈夫かな?」
「少数が増えたぐらいで問題ない。それより儂の家族も参加したがりそうだ。好奇心旺盛でな。……噂をすれば妻と子が来たようだ」
遠く離れてるが会話をしてるみたいだ。何言ってるかは分からないが。
「急に気配消えたから驚いてきたみたいだ。良かったら友として紹介してもいいか?」
「友と呼んでくれるのですか?それはありがたいです。是非紹介してください」
親子は近くに着陸し人化した。
「初めましてこの辺りの国の代表をしておりますセートと申します」
「今日初めて会ったが面白い人間だ。出来るなら仲良くしたい」
それを聞いた母の方の龍は何も答えない。
一方子供は「人間が友達だと?まあ父と会話できるぐらいの力が有るのは認めるが、偶然認めて貰えたぐらいで対等と思うな。お前位指一本で十分殺せるのだからな」
「まあどう見ても人が龍に勝てるとは思ってませんよ。ただお父様から友達と呼んでいただけただけです」
「煩い。お前ごときが父をお父様とか呼ぶな!」
すごい熱のブレス(?)をこちらに向けてきた。
幸い後ろには人が居ないが、どれほどの威力が有るか分からない。
「身動きも出来ずに死ぬのか……弱いな。まあ私の全力ブレスで傷付かなかったのは両親ぐらいだけどね。人間ごときなら一瞬で蒸発かな?」
なんか余裕あるみたいで言ってるが、そろそろ身を守ろう。
「前方に冷気魔力大。発射」
ご両親に謝りました。「大変申し訳ありません。障害が残たっら責任取ります」
相手の龍毎凍りました。
龍相手に簡単に魔法なんて効くと思わないよね。とりあえず解凍……でも低体温でやばそう……。
もう正体ばれてもいいか。この龍親子には隠したくないし。
「少しお子さん借りますね」返事を聞かず「一つになる」
龍は消えた。両親は固まっていた。
見ていた周りも固まっていた。
多分この時がここに住みだして一番静かな時間だった。
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