第28話 教国からの使者
先日のしろの件も有り混乱していた教国からの代表も落ち着いたみたいで、すぐにお詫びに来た。
人前では話しにくいが聞いてほしい話があると代表は人を減らし話し出した。
「もう気付かれていると思いますが我々は貴国との友好及び貴殿の監視、出来る事なら恋仲になれと言われ来ました」
「良いのかそんな事言って?」
「私には諜報活動など向いていないのです。下級貴族で死んでも問題にならない者として選ばれたのですから。私が稼いでお返しいたしますので、連れてきた獣人を引き取ってはもらえませんか?彼らは獣人だと言うだけで奴隷のように扱われているのです。こんな事私は許せません。私は教国の貴族として処分を受け入れますが、獣人だけはお許しください」
「君には何の罪が?」
「結婚式を手伝う名目できた諜報員であったと言う事実が御座います」
「したのか?」
「まだです」
「では罪などないではないか。獣人は此方の国に多くいる。希望が有れば好きな所に紹介するよ。そして君への対応だが……俺の婚約者とならないか?当然形だけだが。正直な所貴国の情報は欲しい。優秀な諜報員となれそうな者が居るなら逃したくない」
「本気ですか?セート様の希望は何ですか?……教国を亡ぼす事ですか?それとも軍事同盟ですか?戦わないなら協力はしたいと思います」
「まあ正直言うとな、戦争は嫌いだ。こんな自分を好いてくれる者たちが死んでしまう……また敵だとは言えその国に住んでいたからという理由で殺しあったり殺されるのも納得できない。見た目が違うからと獣人たちを差別するのも許せない。見た目が同じ人間同士でも戦争してるというのに」
「そう言う事ならば是非協力させてください。いきなり婚約者となると王国が多分出てきます。とりあえずは今回の使者は全員下働きとして働いていると報告致します。私も本当は奴隷とか戦争とかを正当化するのは嫌でした。私の理想を叶えてくれそうなセート様に私の身を預けます。好きに使ってください」
「なんかさ……そういう変に期待してしまうようなことは言わないで欲しい。一応俺も男だ。きれいな女性に好きに使え等と言われると反応しにくい、と冗談はここまででまだ名前を聞いてなかったな」
「失礼いたしました。ライラックと申します。セート様にならお好きなようにされても文句など言いません。子供が出来ても教国には渡しませんし。この国に来て皆様の楽しそうな顔を見ていますと教国よりこちらで住みたくなります。任務を与えられた以上達成しこの地に住む許可を頂きたく思います」
「よろしくな、ライラック。我々と働く時点でもうこの国の国民だと思っていいよ。ただ監視はつけるがな。現状色々な労働者が足りないから助けてくれると嬉しい。それと貴国の貴族籍は出来るだけ残しておくように。もしこの国に気に入らないところが見付かっても帰れる場所は残しておいた方がいい。……もう帰れない人も多い。自分から減らす必要はないからな」
「よろしくお願いいたします」
こうしてまた人口が増えた……。食料確保に行きたいな。最近動いてないから体が……。まだ若いから大丈夫だよね?
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