第29話 教国の接近

 ライラックは此方に協力的だった。亜人達との交流も嫌がることなく、逆に今までの非礼を詫びていた。

出来るだけ各種族が協力して戦闘の準備を進めて行った。


 ライラックが来て数か月後教国より第二弾の応援が来た。今度の中心人物はライラックの妹のセアノサスであった。セアノサス曰くは教国は今分裂の危機らしく、少数の人間至上主義派と新勇者派に分かれているらしい。


 新勇者派は現在こちらの国へと亡命を希望しているらしくその代表をライラックの実家がしているそうだ。

受け入れたら間違いなくどこかで戦争になるだろう。ただもう決裂は修復不可能な程なのでこちらも決断するしかない。

「戦争なんかしたくないのだがな」

「新勇者派を捨てますか?」

「いや、受け入れる。どこからも攻め込まれにくい国を作る。その為には多数の知識と人材が必要だ。甘い考えだと思うかもしれないが戦争を減らす為に協力してほしい」


この時にもう逃げられないと覚悟した。自分の大切に思う人達が増え過ぎたのだ。出来れば全員を守りたい。この世界に来て好きな人も出来た。結婚ももうすぐだ。神様も彼女欲しいと願った俺にこれほどの力をくれた。この力を使って大切な人を守れと言う事だろう。それが正解か間違いかは分からない。とりあえず後悔しない様に生きよう。


 セートはこの国の代表となっているが、現場に出て作業を手伝ったりする。最初は護衛に文句を言われたが、この国の代表は人間だが亜人も対等に扱うと言う事を見せておきたい。少しでもこの国を守りたいと思ってもらえたらそれでいい。戦闘までの遺された時間は少ない。


 それから数か月、想定外に戦闘はなかった。教国からの使者は頻繁に来るがどれも自分達の地位を守るなら貴国の属国となってあげるという内容だ。とりあえずは無視している。

多分その状況を知ってか中央王国側も動き出しているらしい。

そちらも多分最初は交渉だろうと思われる。


このまま戦争なしに終わればいいが……。


等と過ごしている間に結婚式の日を迎えた。当初は他国からも参加の予定だったが今回はこのご時世なので国内のみとした。


 色々有って全て終わったのは夜になってからだった。もうみんなお疲れである。セートは今日はモモと寝ようかと考えていたら、モモが皆を呼び一緒に寝ようと言った。


モモ、ツバキ姉妹、サクラ、ミモザ、ローズマリー、セリ姉妹、コデマリ、しろ、ライラック姉妹が集まってきた。……あの少し多すぎではないでしょうか?


「ここに集まった方々は現在の妻及び婚約者と将来の婚約者候補として考えてます」

「なあ、モモ?ミモザさん、セリ姉妹、ライラック姉妹はいつの間に候補になったの?」

「ではそれ以外の方は認めていると言う事でよろしいですね」

「認めると言うか前に言われていたからと言う程度だが」


セリ姉妹はそれを聞いて「新しいパパが出来るよ。でも私もパパと結婚したい」と嬉しそう。

ライラックは「私はセート様にすべてお任せしました。好きなように扱いください」と少し怖い。


「もし戦争終わって平和になってそれでも俺を選んでくれるなら考えるよ」

先延ばしにした一言だったが、何故か皆やる気になった。

時間の経過とともに話が大きくなり、


誰が言い出したか、戦争で大きな戦果を挙げたものはセートと結婚する権利を得れると言う話になり、撤回出来ないほどの士気があがった。

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