第21話 結婚するなら戦争前だよね

 今日は珍しくセートは一人で考え事をしていた。このまま戦闘もなく平和に終わってほしいが難しいだろうと。

その時偶然にローさんが近くに居た。彼はセートに気付いたみたいで寄ってきた。

「考え事か?」

「はい」


「悩みぐらいなら聞くぞ」

「戦闘も近そうなんで結婚をどうしようかと」

「あ~。なるほどな。儂としてはしておけと言いたい」


「一応理由をお聞きしても?」

「儂もな戦争が始まって、もうすぐ戦場にってなった時見合いをして、結婚した。共に過ごせたのなんか数か月だったが守るために戦って帰ってきたいと言う気持ちになったよ」

「そうですか。でも残されるものとしてはどうなんでしょう?」


「あの時は世界中で戦争だ。完全に安全な人などいない。いつ死ぬか分からないというのはこの世界にも似ている。それを考えると何もできなくなるぞ。

それとな、君の場合はこの国の代表となってる。今の所君の存在を欲しい国ばかりだろうから安全だ。結婚申し込まれるぐらいだろう。」

「それはそれで困ってるんですが」


「だがな攻めてきた国が負けそうな時に狙うのは多分君の命だ。君の妻?婚約者?は野心がなさそうだ。もし君が殺されたら?誰かがまとめないといけないが誰が成れる?そのとき君の子供が居るとその子供を一時的に代表として考えられる。で、子供が居なければ、君の暗殺に失敗したら次に狙われるのは妻と婚約者だぞ。攫われて敵国内の男と結婚したことにされたら君なら攻撃しにくいだろ?皆を守りたいなら今周りに居る人たちだけでも家族になって守っておけばいい。最悪別れる事も出来る。

儂たちは一度死んだ。だから死に対する考えが違うのかもしれないが、この世界では明日死ぬと言うのは普通だ。だから悩むなら行動。間違えてても生きてたら次が有るしな。もう少し様子を見てとかはこの世界では贅沢な時間の使い方になるから。嫌でないなら決めてしまえ。そして子供作れ。世話位手伝えるぞ」


「手伝ってくれるのですか?」

「君の妻たちが嫌がらないならね」

「子育ての経験が有るのですね」

「この世界に転生して周りを見たらエルフと言う美女ばかりだった。一定の年齢になったら我慢なんかできなかったよ。すぐ恋人作った。年上だけどいいのか?と聞かれたが、年上に教わるっていうのもなんか良くてな。若かったからすぐ子供が出来たよ。結局子供のできにくいエルフだが妻との間には二人の子がいる。子供と言ってももう数百歳だがな。妻は後で聞いたら100歳以上年上だった。楽しく暮らしていたが100年以上前に亡くなったよ。だから多分儂も長くはないと思う。でもな子供ができると考え方とか変わるぞ。出来たら死ぬまでには経験しておくことをお勧めする。君の場合相手が多いから大変だろうが子供は可愛いぞ」


「なんかこう話してると孫の居るお爺さんって感じですね」

「孫どころか玄孫が居てもおかしくはないがな」

「会わないのですか?」


「そうだな。死ぬまでに探してみるよ。妻の死も伝えないとな。エルフって寿命が長いから一度家族から独立した者は二度と会わない事も珍しくないんだ。でも儂個人としては会いたいからな。ここに来たのもエルフが集まっているからと言うのも有る」

「家族になるですか。そうですねお互い好き合って居るなら悪くないかもしれませんね」


「この先政略結婚の可能性も高い。今のうちに気の合う相手と結婚しておけ。ツバキ達からも……いや何でもない」

「優秀な軍師の罠か。あえて罠に嵌まってみるのもいいかもしれませんね」


「ここは独り言だが、この世界では男は相手が気に行ったらすぐその女と結婚する。ルールの違う異世界から来たとはいえなかなか結婚してくれないから、自分達に魅力がないのか心配してるぞ。いい子たちじゃないか。早くしないと他にとられるかもしれないぞ」

「気に入っても連れて行かないで下しね」

「儂には天国で待ってる奴がいるんだ。儂が着いたら久々に二人で旅しようと約束してるからな」


何時もと雰囲気が違うエロ爺さんだった。俺もそんな関係に成れるかな?

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