第十一話:闇取引の現場へ! オカマ剣士、夜陰に潜む裏証拠を探る

夜が更けたアルマルス城下は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。しかし、その闇に紛れて動く影が一つ。騎士団内に巣食う腐敗の証拠をつかむため、オカマ剣士ジュンはこっそり城外へと向かっていた。


 昼間、若い騎士から聞いた話によれば、今宵、郊外の倉庫で領主と騎士団幹部の腹心が密かに会合を持つらしい。そこには、弱い村人たちから不当な年貢を搾り取る計画を記した書類があるという。

「まったく汚いわね。聖騎士団の名を利用して民衆を食い物にするなんて。」

 鍛え上げられた筋肉で形作られた体躯に、きらびやかな衣装をまとったジュンは、月明かりに浮かぶ倉庫を睨みつける。鉄格子の影に隠れ、相手の出方をうかがった。


 倉庫の前には見張り役らしき二人の騎士が仁王立ちし、不審者を寄せつけない態勢を取っている。かつてタルーネで見慣れた光景だ。理不尽な権力者たち……ジュンは鼻を鳴らし、小声で呟く。

「オカマなめんじゃねぇぞ、ゴラ! 証拠はあたしがありがたく頂くわ。」


 ジュンは鍛えた脚力で、ほとんど音も立てずに見張りの背後へ回り込む。圧倒的な腕力と的確な関節技で気絶させ、倉庫の扉へと耳を寄せる。

中からは低い声が響いてきた。


「領主様、こちらが今回の書類でございます。これで村人どもから追加徴収し、分け前は我々で……」

「フッ、いいだろう。騎士団幹部たちにも口止め料を渡しておけ。黙っている限り、この街は思い通りだ。」

 木扉の向こうで笑い合う領主と側近らしき男。腐敗の核心がここにある。


 ジュンはそっと扉を押し開ける。ランプがゆらめく薄暗い倉庫、木箱の陰で笑みを浮かべる男たちが書類を手にしている。

「おじゃまかしら? でもあたし、ちょっと用があるの。」


 男たちはぎょっとして身を引く。

「な、なんだ貴様!」

「オカマ剣士…?」

 驚きと焦りが交錯する中、ジュンは愛剣を片手に構え、鍛え抜かれた筋肉で裏付けられた威圧感を放つ。


「男でも女でもない最強の存在、それがわたし♡ 民衆を苦しめる書類なんて、あたしが預かっておくわ。」

 領主が金貨袋を差し出し、「金で黙れ」と喚くが、ジュンは嘲笑する。

「オカマは人情に厚いのよ。金なんかいらない。あたしは弱い者を守りたいだけ。」


 剣先の一振りで、領主が握る書類を床に散らす。特別徴収や裏取引を明記した記録が露わになる。男たちは慌てて拾おうとするが、ジュンは一瞬で側近の腕を極めて動きを封じる。

「下衆な取引はここまで。あたしが全部、騎士団の良識派に晒してあげるわ。」


「くっ…この下衆なオカマめ!」

 側近が罵倒するが、ジュンは強靭な筋力で押さえ込みながら、余裕の笑みを浮かべる。

「下衆はあんたたちよ。あたしはオカマ剣士ジュン、良識を通す剣士。魔法のような裏技はないけど、証拠があれば十分ね。」


 領主と側近はうろたえ、逃げ場を失う。ジュンは書類を握り、気絶した見張りを踏み越えて倉庫を出る。夜風が髪を揺らし、月が筋骨逞しいオカマ剣士の背中を照らす。


「これであたしは、騎士団内の腐敗幹部どもを追い詰められる。オカマなめんじゃねぇぞ、ゴラ!」

 拳を軽く握りしめて囁く決意の言葉が、静かな夜気に溶けていく。


 第十一話、ここまで。

 次回、確かな証拠を手にジュンは騎士団幹部たちを追い込む! 清廉な組織へと再生するため、オカマ剣士の剣が再び唸る。乞うご期待!


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