第十話:聖騎士団の闇、オカマ剣士の叩き斬り宣言
聖騎士団に迎えられたジュンは、広々とした騎士団本部の廊下をゆったりと歩いていた。筋肉の隆起が浮かび上がる豪奢な衣装に身を包み、腰には愛剣が揺れる。周囲の団員たちは、初日から幹部候補として名を馳せた新参者にちらちらと視線を送っている。
「噂のオカマ剣士か…」
「相当な腕前だそうだが、本当にあの体躯で舞うように剣を振るのか?」
そんな小声を耳にしても、ジュンは余裕の笑みを浮かべるばかり。すでに実力で見返した過去がある。驚かれようが恐れられようが、どっちでも構わない。重要なのは、この聖騎士団で彼が何を成し遂げるかだ。
だが、その夜。与えられた部屋でくつろいでいると、廊下を通り過ぎる騎士たちの低い声が聞こえてきた。
「今夜もまた、あの領主宛ての『特別徴収』があるらしい。」
「ああ、弱い村人たちが犠牲になるとか。腐敗しきってるぜ…」
耳を澄ませば澄ますほど、聖騎士団内部に広がる不穏な噂が浮かび上がる。どうやら一部の幹部が領主や悪徳商人と裏で通じ、不正な取引や脅しを行っているようだ。
ジュンは鋭く目を細める。
「なるほど、綺麗事ばかりじゃないのね。この清廉潔白をうたう聖騎士団にまで腐敗が巣食ってるとは…。」
昔から理不尽には慣れっこだが、騎士団と名乗る組織が正義を踏みにじっているのは許せない。ここは、オカマ剣士ジュンの出番だ。
翌朝、訓練場。ジュンは軽い稽古を行いながら、団員たちに話しかけてみる。
「ねぇ、あなたたち。最近、領主との取り引きで妙な噂があるわね。ちょっと聞かせてくれない?」
筋骨逞しい姿でウインクしながら尋ねると、団員の一人はビクリと肩を震わせ目をそらす。「し、知らないよ! そんな話、俺たち下っ端には関係ない!」と明らかに動揺している。
「ふーん、隠すのね。ま、それも仕方ないか。」
ジュンは剣を振り、一瞬で訓練用の木剣を真っ二つにする。パキンという乾いた音が周囲に響き渡ると、騎士たちは息を呑む。
「隠すのは勝手だけど、悪事は必ず日の目を見るわよ。あたしが引きずり出してあげるから、首を洗っておきなさい。」
その昼下がり、騎士団の会議室に呼び出されたジュンは、数人の幹部らしき人物たちと顔を合わせる。彼らは絢爛な鎧に身を固め、権力を誇示するかのように居丈高な態度をとる。
「新参者ジュン、聞くところによれば、早くも内部で妙な噂に首を突っ込んでいるらしいな。」
髭を蓄えた年配の幹部騎士が冷ややかな声で問いただす。
「ええ、確かに。あたし、理不尽が嫌いなの。聖騎士団と聞いて正義を守る組織だと思えば、腐った話があるじゃない。」
ジュンは堂々と胸を張り、鍛え抜かれた筋肉の隆起を浮かばせながら笑う。
「オカマは人情に厚いの、悪党を見過ごせない性分でね。」
「ふざけるな!」
別の幹部が拳を握り締めて机を叩く。
「貴様のような異端者が騎士団に入り込み、勝手な正義を語るとは。ここは我らが築いた秩序だ! 口出しするな!」
その態度に、ジュンは鼻で笑う。
「秩序? それは弱い者いじめと賄賂のことかしら。ふん、笑わせるわね。」
幹部たちは顔色を変えるが、ジュンは構わず続ける。
「男でも女でもない最強の存在、それがわたし♡ あたしが来たからには、この腐った空気、全部斬り払うわよ。」
ざわつく幹部たちを尻目に、ジュンは踵を返し会議室を出る。背後で低く罵声が飛ぶが、気にしない。闇を隠そうとすればするほど、ジュンは真実に近づく手がかりを得る。
廊下で待ち構えていた若い騎士が、恐る恐る声をかける。
「じ、ジュンさん…正直、私たちにもどうにもできなくて…。あなたの力を借りたいんです。」
その瞳には、怒りと無念、そして小さな希望が混ざり合っている。
「いいわよ、あたしに任せなさい。オカマ剣士ジュン、正義と人情で世直しするって決めてるの。」
ジュンは若い騎士の肩を軽く叩き、優しく微笑む。筋肉質で豪奢な装い、強烈な個性を放つオカマ剣士の背中が、騎士団本部の石造りの廊下に映える。
聖騎士団という名の、光と影が交錯する場所で、ジュンは次なる一手を練る。腐敗した幹部たちを追い詰め、清廉な組織へと生まれ変わらせるための闘いが、いよいよ幕を開けようとしていた。
第十話、ここまで。
次回、オカマ剣士ジュンは腐敗幹部との本格的な火花を散らす! 裏取引の証拠を掴み、不正な秩序を打ち砕く剣舞が繰り広げられる予感。乞うご期待!
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