(一歩)

『ええと、

 この”アダルト雑誌”のタイトルは、


 ”この世は爆乳戦国時代シリーズ

 〜乳輪火山とびしゃ悶天編〜”


 それから、


 ”ドギマギ学園F組♡

 パイセンの甘酸っパイ大失パイに

 胸いっパイで乾パイしたのに

 まさかの女スパイで大惨パイ”


 こちらでお間違えはないでしょうか?


 それから、

 お客様のお名前ですが……』


「あーーー〜〜〜わかった!

  わかったから!!

  待てばいいんだろ 待てば!!

  入荷したら 配送してくれ、な?」




『あっ もうひとつ、

 これは何と読むんでしょう?

 "乱棒ズッキーニ……"』


「もういいって!!

 もう勘弁してくれ!!

 わかったから!!」



『配送の場合、追加で1~2日ほどかかりますがよろしいでしょうか?


 さらにお待たせしてしまうことになりますが』



「もう構わねぇよ

  ちゃんと待つからさ……」




もう意気消沈した様子だったが、僕はこのようなことが繰り返されないように忠告がてら、もう一言だけ添えた。




『恐れ入りますが、お客様は一般常識のアップデートがまだお済みで無い様ですので、もし宜しければ丁度良い書籍もご案内しますよ』



「っ!

   うう……」




クレーマーは真っ赤になった顔をさらに赤く染めながら慌てふためいた様子で、尻尾を巻いて店内から姿を消した。





パチパチパチ!!!!!



店内から盛大に拍手があがる。



「お兄さん、いい対応だったよ!」


 「いいねぇ~~、スカッとしたぁ!」



『お騒がせしてしまい大変申し訳ありませんでした。』



深く頭を下げながら、まだあがる拍手を耳に内心ほっとした。



それと、引っ込み思案だった自分を少しでも克服できたみたいな気がして少し嬉しかった。



困っている人の為になんとかしなきゃ、と思えただけかもしれないけど、大きな一歩になったような気がする。



ここに来る途中、コンビニに寄らなくてよかったよ。



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