(執行)

『お待たせいたしました。


 確認させていただきましたが、

 

 お客様がお求めの書籍は大変品薄な状況でして、

 ネット販売はしておらず、現在 増刷中 のようですね。


 恐れ入りますが、出版社がお休みのため

 早くともあと1週間ほどかかるかと 』



当然ながら、クレーマーは食って掛かる。



「そんなに待てると思うか??


 こっちはどんだけ待ってると思ってんだよ?


 今すぐ出版社に電話して調整するとかできねぇの??」




そのように言うなら、こちらも返すしかないよね。




『お客様。


 お客様がお待ちかねの”アダルト書籍”ですが、

 増版が追い付かない状況のようでして。


 ”アダルト”業界でもなかなか入手が困難な一品とのことです。


 ですから』



「おい、ばっ!!


 ちょ ま、まてまて!!!」



撒き餌に食らいついたからには、致し方なし。




『お客様には大変ご迷惑をお掛けしておりますので、


 お客様ご所望の”アダルト雑誌”の入手を早められるように出版社に掛け合ってみます』



周りのお客さんがそのワードに反応し、くすくすと笑う声が聞こえる。

クレーマーに視線が集まっている状況だ。

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