2024.12/20 獣

このサイトで小説を書いている人ならばご存じだろうか。画面右上の水色の長方形、その中に白い字で書かれた「公開に進む」をクリックするとき、脳みその裏が快感に震える感覚を。公開を許可したその瞬間、水色の棒の隊列がぐわっと横に広がる瞬間のきゅうと縮こまる臓腑のときめきを。

 勿論ご存じのことと思う。早く小説を載せたい。小説を外に出す、その快感にむしゃぶりつきたい。そう思うのは生き物として仕方のないことだと思う。その快感が私を突き動かし、めまいがするほどに血潮を逸らせる。そうして小説をまた、書く。そうした循環の中で生きる。

 こうした完成度と快感の狭間で揺れ、どちらに天秤を傾かせるかということに何を大切にしているのか、作家性というものが出るのだと思う。そして、小説の完成度を優先した方が完成する小説はいいものだ。それでも。

 私は獣だ。吠え狂い、風を置き去りにし、体毛をなびかせ、何よりも早く奔る。満月の月明かりに照らされて、人間の世界も忘れて、また、吠える。

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