2024.12/20 傑作選びとこれから
と、ここまでは四年ほどの間……過去に書いたものの中から傑作選として抜き出したものをお送りしてきたが、未来の話となるとそうもいかない。書き損じ、と名乗りながらも日和ってそこそこ読み応えのあるものを厳選してきたが、これからはその厳選が難しい。なにせ、書いてから三十日も待たないと、傑作かどうかが分からない。
傑作の判断基準は様々あるが、一つ確かなことがある。それは、自分の書いた話が傑作であるかどうかは、寝かせてみないと分からない、ということだ。自分が書いた直後にその小説を読み返しても、書いたときに何を書こうと思っていたかを覚えている分、そうした著者の意図に沿って、無意識に補完して読もうとしてしまう。さみしさ、怒り、喜び、その時の生き生きとした感情がかえって繊細な抑揚を持つ文章を感情で塗りつぶしてしまい、読むことを阻害するのだ。文章には、落ち着いて読んでみると、無意識に当時書こうと思っていなかった以上の意味がこもっていることがある。さみしさの中の喜び、怒りの中のさみしさ、喜びの中の怒り。皮肉の中の批判、批判しながらの応援、肯定ながらもくぎを刺す。勿論もっと種類はある。そうした様々な色合いを持つ複雑な文章を色眼鏡をかけずにしっかりと見るためには、経験上、忘れた頃に読み返すのが一番いい。そうした複雑な色合いを見ることで、やっと傑作かどうかを判断できる秤の上へ乗る。勿論、寝かせすぎると過去の自分の文章の拙さに悶絶させられる、というリスクもあるので……。人に依るだろうが、私の小説については一ヶ月程度の休眠が望ましいように思える。
だから私は一ヶ月、小説を寝かせる──と言えたらよかったが。そうした場合この話が投稿されるのは一月の二十日だ。理論的に分かる、とできる、は違う。だって出したいだろ。書いたら。
そういうオチもクソもない日記的な文章を、つらつらとこれからも更新していく。なにせ私には、見分けがつかない。
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