第20話

「……パーティーは

もう終わりでしょ?



早く部屋に連れていって。」




「……しかし私は

まだ仕事が……。」




私に抱きつかれたまま

身動きの取れないネオに



さらにギュッとしがみつくと。




「……嫌よ。命令よ。」




「!」




その一言に、彼が逆らえないことを知っていて



私は……彼を放さない。





「……承知しました。」




ネオのその言葉に

安心すると同時に



寂しくもあるのは





名家の令嬢と…執事。

彼と私の関係がただそれだけであることが



嫌でも突きつけられてしまうから。





だけど……ねぇ?

……ネオ。




わたし知ってるのよ。





「……ネオ!

ゲストがお呼びだぞ!」




「……申し訳ありません。

私はお嬢様をお部屋まで案内致します。」




「……それは他の執事に任せて……。」




「……いいえ。

ルナお嬢様のお世話は私がします。」




執事長へも、きっぱりといい放つネオに

どうしたって……嬉しいと緩んでしまう頬。




そう……ネオはいつ

どんなときだって。





「……お嬢様?

そんなに寒いのなら


上着を……。」




「……いい。いらない。」



上着を借りたら、貴方にこんなにしがみついている理由がなくなるじゃない。




……ネオにとっては

いつだって



私の命令が『一番』なんだ。

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