第18話 真実を開く代償
雨の音が倉庫の中まで染み込むように響いていた。香織の指先は、端末に表示された「データを開きますか?」の問いに触れようとしていたが、わずかに震えていた。
涼介が隣で息を潜める。「香織、やめとけ。これを開けば確実に俺たちは狙われる。」
署長も慎重に言葉を選びながら付け加えた。「山崎が残したデータがどれほどの影響力を持つのかは分からないが、敵にとって最大の脅威になることは間違いない。君の覚悟が必要だ。」
香織は二人の言葉を聞きながら、目の前の端末をじっと見つめた。彼女の脳裏に浮かぶのは、山崎の穏やかな笑顔と、彼がどれほどの思いでこのデータを遺したのかということだった。
「山崎さんがこのデータにすべてを託したのなら……私がそれを守り、公開する責任がある。」香織の声には迷いが消えていた。
黒服の男が苛立ちを露わにした。「さっさとしろ。データを開かなければ、全員ここで終わりだ。」
香織は端末に指を触れ、「YES」を押し込んだ。その瞬間、画面が明るく光り、いくつかの新しいファイルとともに大きな注意文が表示された。
「このデータを公開する場合、全ての内容が一瞬で外部ネットワークに送信されます。それにより保護が解除されることを理解してください。」
「公開が前提……?」香織は目を見開いた。
涼介が覗き込む。「外部ネットワークに送信?これって、一度開けば誰にでも見られるってことか?」
署長が緊張した表情で首を振った。「いや、それは同時に、君たちを消す理由を敵に与えることになる。奴らにとって、このデータの流出は致命的だ。」
香織は深呼吸をして、次に現れた「公開しますか?」の選択肢を見つめた。画面には、「YES」と「NO」が並んでいる。
「もう後戻りはできない……。」香織が静かに呟いた。
香織が「YES」を押すと、端末の画面に一連のファイルが次々と表示され始めた。それは映像、音声、契約書、メールのやり取りなど、膨大な証拠だった。
その中の一つの映像を再生すると、暗い会議室で行われた密談が映し出された。複数のスーツ姿の男たちが顔を隠しながら、明らかに違法な計画を議論していた。
「これが……山崎さんが掴んだ真実。」香織は言葉を詰まらせた。
映像の中では、ある企業が健康被害を引き起こす製品を故意に市場に出し、それによる被害を隠蔽する計画を話し合っていた。その中には、政府関係者と企業幹部との癒着を示す証拠も含まれている。
「これは……。」署長が眉をひそめた。「完全に組織的な犯罪だ。」
涼介も息を呑んだ。「これを世に出せば……とんでもないことになるな。」
「だから、山崎さんは命を狙われた。」香織は画面を見つめたまま答えた。「この証拠があれば、企業もその背後にいる政府関係者も全員追い詰められる。」
その時、香織の手元の端末が突然鳴動し、画面に新たなメッセージが表示された。
「データを送信しますか?送信には10秒かかります。」
香織はわずかに息を詰めた。だが、その選択肢に触れようとした瞬間、黒服の男たちが一斉に動き出した。
「待て、データを送信するな!」
男たちは銃を構え、香織たちに狙いを定めた。その背後ではさらに増援が現れ、状況は一気に緊迫の度合いを増していった。
「時間がない!」涼介が叫ぶ。「送るなら今しかない!」
署長も銃を構え、敵を牽制しながら叫んだ。「君が選択するんだ、香織!何があっても、私たちはお前を守る!」
香織は端末を握りしめ、画面の「送信」のボタンを見つめた。その瞬間、彼女の脳裏には山崎の遺した音声が再び蘇る。
「君が選ぶべき道は、未来のための覚悟だ。」
香織は一瞬だけ目を閉じ、深呼吸をした。そして目を開けると、揺るぎない決意を秘めた目で端末の「送信」ボタンに指を置いた――。
だが、その瞬間、背後から銃声が響いた。
「香織!」涼介の叫びが倉庫内に響き渡る。
何が起きたのか、誰が撃たれたのか――香織は端末を守りながら振り返るが、その視線の先には、信じられない光景が広がっていた。
読者選択肢
1.データを送信し、真実を全世界に公開する
- 全てを公開し、敵を追い詰めるが、自分たちも命を狙われる危険が極限まで高まる。
2.データを守り、敵を欺きながら別の場所で公開する準備をする
- 一時的に敵を出し抜き、より安全な方法で公開を目指す。ただし、時間がかかり敵の追撃が続く。
応援コメントへの選択番号記載依頼
読者の皆様、物語はいよいよクライマックスを迎えています!
香織は、山崎の遺した真実を公開するか、それとも守り抜くかの選択を迫られています。この選択が、物語の結末を大きく左右します。あなたの推薦力で、彼女たちを導いてください!
コメント欄に「1」または「2」の番号を書いてください!
締切:明日朝7時まで
香織たちの運命は、あなたの選択にかかっています。一緒に真実を掴み取りましょう!
三田村香織から読者メッセージ
読者の皆様、いつも応援していただき本当にありがとうございます!
私たちは今、究極の選択を迫られています。この真実をどう扱うべきか、あなたの知恵と力が必要です。
どうか、私たちに力を貸してください。一緒にこの物語を完成させ、真実を未来へ届けましょう。次回もお楽しみに!
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