第17話 真実への扉

冷たい雨が倉庫の屋根を叩きつけ、雷鳴が遠くで轟いていた。その不規則な音が、香織の思考をさらに追い詰めていく。目の前の端末には、山崎が遺した最後の暗号が表示されていた。


「このデータを開く覚悟はあるか?」


そのシンプルな問いかけが、香織の中に重くのしかかる。画面の先には、山崎が命を懸けて守り抜こうとした真実が隠されている。だが、それを開くことで何が起きるのかは未知数だった。


「おい、早く答えろ。」

黒服の男が苛立ちを露わにし、香織の方に一歩近づく。


涼介がすぐに間に割り込み、男を睨みつけた。「焦らせるな。もし間違えたらどうするつもりだ?データが消えたら、あんたらの計画も台無しになるだろう。」


「計画が台無しになるのは、君たちも同じだ。」男は冷たい目で言い返した。「ここで選択を誤れば、君たち自身が終わるんだ。」


香織は端末を見つめたまま、小さく息を吐いた。「山崎さんは、ここで私たちに試練を残したんです。この暗号を解く覚悟がなければ、先には進めない。だけど……それが何を意味するのかを知らずに進むのは危険すぎる。」


「そんなことを言ってる時間はない。」署長が低い声で言った。「奴らがいつ本気で攻撃を仕掛けてくるか分からない状況だ。」


香織は端末を握りしめ、再び画面を見つめた。その文字の背後に、山崎の意志が感じられる気がした。彼が何を守ろうとしていたのか。そして、彼がどれほどの覚悟を持ってこのデータを残したのか。


「涼介、署長。」香織は静かに二人を見つめた。「私がこのデータを開く覚悟を決めたら、何が起きても対応できる準備をしてほしい。」


涼介が驚いたように声を上げる。「本気で言ってるのか?お前、これを開くことで何が起きるか分からないんだぞ?」


「分からないからこそ、進む必要がある。」香織の声には迷いがなかった。「山崎さんはこのデータに真実を残した。でも、それと同時に、この真実を扱う人間に試練を課している。それを越えなければ、彼の意志を無駄にすることになる。」


署長が短く頷いた。「分かった。だが、もし何か異変が起きれば、すぐに知らせろ。お前たちを守るのが私の役目だ。」


香織は画面に表示された問いに「YES」を入力し、指を画面に触れると端末が一瞬暗転した。次の瞬間、端末の画面に新たな情報が現れる。


そこには、一連の画像と数字の組み合わせ、さらに音声ファイルの再生ボタンが表示されていた。


「音声ファイル……。」香織は慎重に指を動かし、再生ボタンを押した。


端末から山崎の声が流れ始める。その声は静かで穏やかだったが、どこか緊張感を孕んでいた。


「このデータにたどり着いた者へ。まず、ここまで来た勇気に敬意を表する。そして、これを聞いているということは、君は覚悟を決めたということだろう。だが、私がここに記録した真実は、君たちの命を脅かす可能性がある。その覚悟がない者は、すぐにここで引き返してほしい。」


香織の手がわずかに震えた。その声は、まるで今も生きているかのように生々しく、彼の強い意志を伝えていた。


「何だ、これ……?」涼介が音声を聞きながら小声で呟く。


山崎の声は続く。


「このデータには、ある企業の不正行為に関する決定的な証拠が記録されている。その不正は、ただの金銭的な問題ではない。それは、人々の命を奪う危険な計画に関与している。」


香織は息を飲んだ。その言葉の重みが、端末越しに伝わってくる。


「命を奪う……?」署長が険しい表情で声を漏らした。「それが、この企業の真の目的か?」


香織は音声に集中し続けた。


「このデータが公開されれば、多くの人々が救われるだろう。しかし、それと同時に、公開した者たちは標的になる。私自身もそのリスクを理解していたが、真実を隠すわけにはいかなかった。だから、このデータを君たちに託す。」


音声が終わると、画面には「データを開きますか?」という新たな問いが表示された。


「データを開け。」黒服の男が銃を構えながら命じた。「ぐずぐずしている時間はない。」


涼介が香織をかばうように立ちはだかり、男を睨みつけた。「あんたらに強要される覚悟じゃねえんだよ。」


「それ以上騒ぐなら、撃つ。」男の目が鋭く光る。


香織は再び端末を見つめ、決断を迫られた。画面に映し出された問いが、彼女の覚悟を試しているようだった。


「香織……どうする?」涼介が小声で尋ねた。


香織は深く息を吸い込み、心を決めた。


読者選択肢

1.データを開き、全ての真実を公開する覚悟を決める

 - 山崎の意志を継ぎ、真実を明らかにする。ただし、その代償として敵からの攻撃が激化する可能性がある。

2.データを開かず、一時的に敵を欺いて退路を探る

 - データを守りつつ、その場を切り抜ける方法を模索する。ただし、真実を公開する機会が遅れる危険がある。


応援コメントへの選択番号記載依頼


読者の皆様、ついに物語の核心に触れる瞬間が訪れました!

香織たちは、山崎が命を懸けて遺した真実を前に究極の選択を迫られています。この選択が、物語の未来を大きく左右します。あなたの推薦力で、香織たちを導いてください!


コメント欄に「1」または「2」の番号を書いてください!

締切:明日朝7時まで

香織たちの運命を決定するこの選択を、どうか支えてください。一緒に物語を完成させましょう!


三田村香織から読者メッセージ


読者の皆様、ここまで私たちを見守ってくださり、本当にありがとうございます!

山崎さんの遺した真実を、どう扱うべきか――その選択は私一人では決められません。この選択には、皆様の力が必要です。


どうか、あなたの選択で私たちを導いてください。真実を共に掴み取るその瞬間を、あなたと迎えられることを楽しみにしています。次回もお楽しみに!

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