第33話、メイドフィニッシュ
ガラン、ガラン
紐の先についた空き缶が、乾いた音を立てた。
ジラントが自分の尻尾の先を嫌そうに見る。
空き缶のついた紐がたくさんくくられているからだ。
「行ってきます」
白いタキシード姿のアレクがウエディングドレス姿のルリを横抱きにした。
そのままジラントに乗る。
ルリはアレクの膝に横向きに座った。
「行ってらっしゃーい」
「気をつけて」
エリザベスやフローレス師匠、ギルドの面々が手を振った。
これから二人は新婚旅行に行くのである。
バサリ
ガラン、ガラン
ルリが皆に手を振る。
尻尾につけた空き缶が大きな音を出しながら、二人は飛び立った。
二人は結婚したのである。
その後、二人は、ジラントに乗り各地に行商の旅を出た。
それから、メイドゥ―ン王国の王位継承権争いに巻き込まれたり、復活したメイド魔王を討伐したりすることになる。
最後には、五人の子宝に恵まれ幸せに暮らしたのであった。
◆
メイドの穴の孤児院である。
「ルリメイドチョー(師匠)~」
小さなヘッドドレスにお仕着せを着た女の子が、テテテという感じで走ってきた。
かがんだルリが優しく抱きしめる。
「元気にしていましたか?」
「はいっ」
少女が元気に答える。
その時、
ジリリン、ジリリン
何もない空間にダイヤルのついた電話が現れた。
「百八あるメイド殺法、その77、”電電公社から貸し出された電話(クロ電話)”」
「ですね、ししょ~」
「そうよ」
ガチャン
ルリがクルクル回るコードのつながった受話器を取った。
「……そう、……すぐ行くわ」
「用事が出来ました、いい子にしているのですよ」
「はいっ」
「百八あるメイド
何もない空間の扉が現れた。
ガチャリ
メイドゥ―ン王国の謁見の間に扉が現れる。
王座にはメイドゥ―ン王が座る。
「来たわよ、あなた」
「うむ」
王が頷いた。
ルリが王座の隣にある王妃の椅子の座る。
「アレク王とルリ王妃にご挨拶を」
ひざまづいた他国の大使が声を出した。
了
名状しがたいメイドのような物語。さく裂っ、メイド殺法っ!! touhu・kinugosi @touhukinugosi
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